コーヒーで読み解く

 3月13日に「第54回コーヒーサロン コーヒーで読み解くSDGs」(主催:コーヒーサロン、日本サステイナブルコーヒー協会)がオンラインで開催され、その際のブログに「コーヒーで読み解くSDGs」(ポプラ社)の記念講演みたいなものだと記しました。そして、先日その本が届いたのです。

コーヒーで読み説くSDG」は川島良彰氏の他、池本幸生・東京大学教授とサステイナビリティ・アドバイザーの山下加夏氏との共著で、コーヒーという視点から見たSDGs解説書であり、SDGsによる17の目標ごとに具体的な事例や農園を紹介しながら詳細に説明しています。

 期待して表紙を開くと、「文字が小さい!」。実際、文字サイズは他の本と変わらないと思うのですが、文字フォントが一般と異なるうえに行間が少し広くしてあるため、正直、読みにくのです。本が届いて読み始めますが、つらくなって閉じてしまいました。コーヒー産地の現地写真が多用され、17の目標ごとに色分けされた工夫がみられるので、とても残念でした。

 その一週間後、改めて読み始めますが、「コーヒーを通してSDGsの目標達成に貢献するためには、自然環境や人権に配慮しながらおいしいコーヒー生産に携わっている生産者の取組みを理解し、その生産者の作るコーヒーを応援することが第一歩となる。」とはいうものの、私自身はコーヒーとSDGsを無理やり結びつけているようにしか感じられないのです。

 トウモロコシを育てていた住民に無理やりコーヒーを作らせた人々が、欧米の教育や文化を押し付け、それで幸せになれるのか?そしてコーヒーを作り続けてくれるのか?「目標とターゲットがすべての国、すべての人々、及びすべての部分で満たされるよう、誰一人取り残さない」となるのか?疑問に思う事ばかりです。

 ただし、この本に書かれたコーヒー産地の実情や取り組みについての記述は素晴らしく、これまで読んできた中で一番お勧めしたいものではあります。もちろんSDGsとは関係なく。2030年をゴールとするのではく、それ以降も取り組むべき課題や、継続させる活動を知る解説書になっています。 

 コーヒーを売る側、コーヒーを飲む側も、先ずは正しく知ることから始めなければなりません。その情報発信の役割を担ってる珈琲屋の一人として、まだまだ学ぶことが多い事を痛感した本でもありました。