油で揚げてもかまわない

 昨日、「エチオピアの豆を焙煎してみた!」といって、自ら焙煎したコーヒー豆を持参されたお客様へ、「こんな本があるよ!」と、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』(監修:石脇智広 絵と造形:堀川理万子 出版:農山漁村文化協会)をお見せしました。

 すると、さすがに手廻焙煎するだけあって、「フライパンで炒ってみよう」の頁を読み始め、「油で揚げてもかまわない 炒ったり、アミで焼いたり、焙煎にもいくつか方法があるけれど、あまり知られていないのが油で揚げるやり方だ。200℃くらいの温度で、焦げないように気をつけながら好みの色になるまで揚げ、すぐに天ぷら紙にとりだす。」といった文言を見つけたのです。そこで、「やってみたら!」と無責任に私が勧め、その日はお帰りになられたのですが、今日の夕方再び来店され、「やってみたら、こうなった!」と、油で揚げたコーヒー豆を持参されたのです。

 袋に入ったコーヒー豆をキッチンペーパーの上に置いてみると、まさに脂ぎったテカテカのコーヒー豆です。豆はグアテマラを使用したようで、80gの生豆が見事に揚がっています。ちなみに、その揚げられたコーヒー豆の重量を計ってみると、71gになるため約88%にまで減少ししていることになります。通常の焙煎では20%近く重量が減るため、その差に当たる重量が使用された油が染み込んだことになります。まさに油まみれ!

 油で揚げた様子を伺うと、油は菜種油を使用し、菜箸の先から泡がでるくらいになってコーヒー生豆を入れたそうですから、約160℃での投入ということになるでしょう。そこから14分程度経過して取り出したそうですが、まるで天ぷらを揚げた時のように泡が勢いよく出たとのこと、そして、1ハゼで大きな泡が出てきた思ったら、直ぐに2ハゼらしい小さがハゼ音が出て、みるみる色付いて慌てて取り出したということでした。ただ、そこからが大変で、キッチンペーパーを何枚も使用し油分を拭き取ったそうです。ちなみに、使用した菜種油は黄色くコーヒーの匂いが付着しているため廃棄されました。

 油分の多いコーヒー豆のため、お店で使用しているミルを使用することは避け、ダイーソーの500円ミルでコーヒー豆を挽きます。30gのコーヒー豆を挽くのに結構な時間を費やした後、松屋式で抽出を始めると、いつものようにドーム状に膨れます。蒸らしをして注湯を始めると、オイルをまとった細かな泡がお湯の通りを邪魔をし、思ったように注湯が進みません。そうして淹れたコーヒーを飲んでみると、思った以上に普通です。多少、飲み終わったあとに油っぽいかな?と感じる程度で、そこそこ飲めるではないですか。本来なら、もう少し浅い焙煎度になれば良かったのですが、何せぶっつけ本番一発勝負のコーヒー生豆揚げですからね。 

 その後、YouTube201212月にアップされていた、「週刊フレーバーNo.86 オイルローストコーヒーを極める」を見ながら談笑しておりました。「あんな小さなビーカーで揚げるんかい!」、「店のミル使っちゃたよ!案の定、粉が詰まってるじゃん!」とツッコミながら、「油で揚げてもかまわない」なんて書いてあるけど、できたらや止めた方がいいんじゃないかと思ってみるのでした。