春遠からじ

 天気予報によれば今日は冬型の気圧配置で、九州から東海にかけては太平洋側でも雪の降る所があるとか。そのとおり、朝、窓を開けると周りの屋根は白くなっています。土岐市の最高気温は5℃だそうで、冬に逆戻りしたかのような一日が始まりました。

 そんな時、洗面所の鏡の前には、妻が置いた水仙の花が飾られていることに気付きます。庭の早咲きの水仙を飾ったようで、季節は確実に暖かな方に向かっていることを教えてくれます。花を見ることは好きでも、植物の世話をしたり、ましてや花を飾ることなどしない私ですが、妻のお蔭で朝から気分良く過ごせるのでした。

 店に着くと、花壇のパンジーには雪が覆いかぶさっています。そして、その傍らにはチューリップの芽が5cm程頭を出しているではないですか。いかにも寒そうな感じがしてしまいますが、寒さあっての開花になる訳ですから、どんなものにも必要な時間ってものがあるのでしょう。

 巷では、新型コロナウイルスのワクチン接種が一部の医療従事者から始まったといいます。1年前は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客が感染し、国内が大騒ぎになっていた頃です。土岐市出身者がいるとかいないとか、根も葉もない噂や誹謗中傷が飛び交っていた時から1年が経過し、これからは誰がワクチン接種をしたかどうかが話題になるんでしょうね。

 そんな混乱した時期が、いずれは過去の話になる日がくるのではないかと思えてくるのは、水仙の花やチューリップの芽を見たからかもしれません。自然の脅威というものは大方、時間が解決してくれることが多いのです。それに引き替えやっかいなのが人間の仕業です。これにはどんなに時間をかけても、同じ過ちを繰り返すという性を歴史が証明しています。 

 さて、オリンピックや株価のバブルといった人間の欲が絡んだ事態は、いったいどうなっていくんでしょうか?こちらは、春遠からじとはならないように思います。