松屋コーヒー詣

 今年は新型コロナウイルスの影響で、これまでにないお正月を過ごすことになりました。毎年、神奈川県に住む娘達が年末にやってきていましたが、高齢者のいる我が家では感染防止のために帰省を控えてもらい、夫婦と母親だけの静かな正月を迎えます。そして、公民館主催の新春歩け歩け大会も中止となり、朝から雪が舞って家に篭っていたのです。

 しかし、さすがにコタツとテレビだけの生活には飽きてしまい、妻の誘いもあって町内の八剣神社と若宮神社に散歩がてら初詣にでかけます。そして、一日おいて恵那市山岡町にある飯高観音へも向かい、なんとなく正月気分を味わいながら過ごしました。来客もなく、妻の実家へも行くこともなく、お年玉も手渡すこともない、ただ休んだだけの日々でした。唯一変わらないのは、二日の朝に私が作る「とろろいも」くらいなものでしょうか。

 そして、4日の月曜日は久しぶりに店へ向かい、少しばかり焙煎を行って明日からの準備を始めます。ペーパーを補充し、松屋式の金枠を整理しながら、「そういえば、神社仏閣に初詣にいったのなら、今年は松屋コーヒー本店に行ってみるか!」と思い立ち名古屋の大須へ向かったのでした。松屋式でコーヒーを淹れている私にとっては、松屋コーヒー本店は本山みたいなものであり、西尾市のフレバーコーヒーは別院といった感じなのですから。 

 車で大須までの道のりは意外と渋滞もなく、スムーズに進むことができました。駐車場も空きがあり、大須商店街も普段と変わりない人出のようです。松屋コーヒー本店には改装工事が済む前に訪問したので1年ぶりくらいになるでしょうか。店内を見渡すと小型焙煎機が設置された小さなカウンターに松下会長がいます。挨拶を済ませ思わず手を合わせそうになりましたが、さすがにそこまですると変な宗教みたいになるので止めます。 

 松下会長からコーヒーを淹れていただけるというので、ニカラグア・ブエノスアイレスのマラカトゥーラをいただきながら雑談します。コロナ禍で大須商店街の賑わいが減ったことや、コーヒー豆や抽出の話などをしていると、今度は、ドミニカ・プリンセサ ワイニーをデミタスカップに注いでいただきました。ナチュラルの甘い香りを楽しみながら、正月早々贅沢な気分になってしまいます。 

 昨年から車の運転を止めてしまった松下会長のようですが、相変わらず元気なご様子です。最近は、名古屋までもが足が遠のくようになってしまいましたが、再び訪問しようと思いながら「松屋コーヒー詣」を終えるのでした。さあ、明日から営業再開です。