Challenge Coffee Barista

 先週の土曜日に参加した、コーヒーサロンと日本サスティナブルコーヒー協会主催の「第53回コーヒーサロン」冒頭で、川島良彰氏から障がいのある方たちのバリスタコンペティションを行うという話がありました。このバリスタコンペティションを通じて、障がいのある方たちの技術の向上と新しい雇用の創造を目指すと同時に、コーヒーを媒体として多くの人が障がいのある方と触れあい、「皆が大切な存在」と認め合うインクルージョンを目指して企画したということです。 

 そのコンペは日本サステイナブルコーヒー協会が主催し、2021512日(水)に品川プリンスホテルで開催予定のようで、特別協賛企業も株式会社カリタ、サントリー食品インターナショナル株式会社 、日本航空株式会社、株式会社プリンスホテル、株式会社ミカフェートなどが名を連ね、抽出器具から水やコーヒー豆、さらには移動手段や宿泊先や会場等まで準備されています。 

 審査は「ブレンド審査」と「抽出技術審査」の2部構成になっており、「ブレンド審査」では、大会主催者から事前に提供された焙煎豆3種を使って、各チームが考案したオリジナルブレンドを、会場にいらした方々が試飲し、風味バランス、ブレンドのストーリーなどを総合的に評価し審査・投票。(ただし、抽出は主催者が用意したマシン抽出)「抽出技術審査」では、各チームが持参したオリジナルブレンドを、主催者が準備した水(南アルプスの天然水)、抽出器具を用いて審査員の前でコーヒーを抽出し、接客、プレゼンテーションを行い、ブレンド、抽出技術、接客、プレゼンテーションなどを総合的に評価。といった内容のようです。 

 既に参加チームは決定し、普段からカフェを運営されている方々や、作業所、支援学校の生徒さんなど、幅広いチームの参加となるようで、サイトを覗くと次の10チームでした。 

レストラン アンシェーヌ藍(東京都世田谷区) 

・スワン (東京都中央区) 

Natugel(ナチュグル)(茨城県牛久市) 

dl.café(ディーエルカフェ)(東京都千代田区) 

・ぴりーぶ(千葉県千葉市中央区) 

・けんきょ~ず(茨城県立境特別支援学校高等部) 

・チーム キャンバス(静岡県静岡市清水区) 

NISHIWASEDA COFFEE (東京都新宿区) 

・フェア・コーヒー(神奈川県横浜市保土ケ谷区) 

Social Good Roasters (東京都千代田区) 

 それぞれのホームページを見てみると多くが就労支援B型作業所やということもあり、一ヶ月の給与も2万円前後くらいだと想像できます。こうしたイベントを通じてバリスタとしての価値を高め、マシンによるオフィスコーヒーサービスから人の手によるコーヒーサービスへ移行し、就労機会の場を増やすことを考えているのだと思います。 

 土岐市においても市役所の新庁舎のオープンとともに、ラウンジスペース内で社会福祉法人聖泉会が「ほしのテラス」というカフェを就労継続支援B型として運営しています。私が訪れた11時半頃にはラウンジスペースで飲んでいる人はいませんでしたが、本格ハンドドリップ・ブレンドコーヒー(250円)はそこいらの喫茶店よりも美味しコーヒーでした。 

 こうしたカフェが表舞台に出る機会が生まれることには賛同できるのですが、企画の趣旨に出てくる「インクルージョン」という言葉が気になります。インクルージョン(inclusion)とは、直訳すると包括・包含という意味ですが、ビジネスにおいては企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態とされています。ちょっと前まで、ダイバーシティ(diversity)という言葉が聞かれ、多様な人材を活かすことが叫ばれてきたので、似ているようで少しニュアンスが異なります。 

 そもそもインクルージョンという言葉は、フランスの中で社会的経済的格差を「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」と呼んでいたところに始まり、社会から排除されたニートや若年層の失業者、障害者など幅広い対象者を含んだ格差社会の抱える問題を表した言葉でした。それが、教育現場にも使われだしたものの、統合教育とインクルージョンと混同して正しく理解されていないケースもあります。 

 私自身、作業所を運営されているお客様や特別支援学校で働くお客様と会話をする中で、何が適切でどうすることがベストなのかも理解出来ないでいることもあって、「インクルージョン」という言葉が先行することに疑問を感じてしまいます。広義に横文字をしようするより、具体的なターゲットに絞った方が理解しやすいと感じた次第です。先ずは、来年もコロナ禍が続くと予想されますが、イベントが話題になることを願うばかりです。