3密(蜜)

 昨日、「2020年ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、新型コロナウイルスの感染防止を目的とする新概念、新習慣である「3密」が年間大賞に選ばれたそうです。その選出理由について、言語学者の金田一秀穂氏は、「3密は健気な日本語である。結婚の条件としての3高、大変な肉体労働を表す3K。いくつかある大切な項目をまとめる言い方が日本語にはあって、得意技ともいえる。この悲劇的厄災の中にあっても、日本語はその特性を発揮して注意すべき心得をまとめて表し、予防を喚起した」と評しています。 

さらに、「生煮えの外来語や新造語が氾濫する中で、『3密』は、3Kとか3高とか、複数の大切なものをまとめて一語で表すという日本語の得意技を使った言葉で、日本のコロナ被害を少なく留めるのに力あった、もしかするとファクターXの一つなのではないでしょうか。」とコメントも寄せている。 

 しかし、「3密」は流行語であってはいけないのです。コロナ禍の今ですら、すっかり忘れ去られた言葉になってしまったような状況を垣間見ると、3密は健気な日本語であるべきではありません。複数の大切なものをまとめて一語で表すという日本語は、日本のコロナ被害を少なく留めるファクターXにはなっていないし、新語・流行語大賞に選ばれた時点で既に過去の言葉となってしまいました。 

 また、今月14日には、一年の世相を漢字一字で表現する「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会主催)の発表が京都・清水寺で発表されます。当然、こちらもコロナ関連の文字が選ばれることになるでしょう。清水寺で書かれた文字は、その後、一年間の出来事を清めるとともに、明るい新年となるよう願いを込めて奉納されるようですが、新型コロナウイルスの感染拡大はまだまだ続きそうな予感がします。 

 医療現場は、春にはマスクや防護服、消毒薬の不足が叫ばれていましたが、現在は医療従事者不足と一般医療への圧迫という事態となっています。感染防止と経済回復を同時に行う施策に踊らされ、個人が考えて行動することを忘れてしまった故に起きている事態だと言うのに、「〇〇の責任だ!」と不満をぶつける人達ばかりです。 

 失業率は悪化し、インバウンドで潤っていた事業所が潰れていく中、株価だけは外資によって上がり続け、(3万までいくかな)オリンピックはスポンサー企業のいるアメリカさえ参加すれば実施しそうだし、効果が未知数なワクチンで儲ける人も出てきそうです。株価、オリンピック、ワクチンの三つの甘い蜜を味わう人がいる世の中、やっぱり間違ってるな。