こんなところに鬼滅の刃

 中央自動車道土岐ICから車で5分程の場所に、飛騨木曽川国定公園となっている「鬼岩公園」があります。可児郡御嵩町と瑞浪市に渡る公園で、温泉旅館も数件あり、近くに住む人にとっては宿泊施設というより宴会場として何度も利用しています。 

 この鬼岩という名は、およそ800年程昔、この岩山に関の太郎という鬼人が住み、近郷近在の住人や東山道を山越えする旅人に悪業の限りを尽くしたので、御白河法王の命を受けた纐纈源吾に依って誅伐されたという伝説にちなんでおり、恐ろしや次月の里の鬼すすきの古句が今も伝えられています。鬼人が住んでいたという鬼の岩屋をはじめ、太郎岩・まな板岩・鋏岩・源吾岩・首洗池等の名が伝説と共に残っています。 

 子供の頃は、鬼岩公園内の岩穴をくぐる「岩穴くぐり」をした懐かしい場所でしたが、この岩穴で、2010年5月に小学2年生の男子児童の転落事故が発生し、それを受け、岩穴の出入り口が閉鎖された経緯がありました。しかし、再開を求める利用者の声を受けて現在では年に一度安全対策を施して復活しており、今年も先日の14日・15日の二日間、鬼岩観光協会によって行われたようです。 

 そんな鬼岩公園ですが、大ヒット上映中らしい人気アニメ「鬼滅の刃」の原作漫画での名シーンを連想させる形の岩が、園の入り口から登山道を歩くこと約20分の山頂付近に大きな亀裂が入り、丸みを帯びた岩があるそうです。大きさは違うものの、「鬼滅」主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が原作漫画の序盤、厳しい鍛錬の末に刀で真っ二つにした岩に似ているそうだとか。これに目を付けた町は案内看板を設置し、岩に近づけるルートを整備し、コロナ禍で周辺の宿泊施設が打撃を受ける中、観光客増に期待しているそうです。 

 私には全く興味のない「鬼滅の刃」ですが、こうした便乗商売が全国各地であるようで、探せば、「こんなところに鬼滅の刃!」って名所が出来上がっているのかもしれません。こじつけて便乗する人、それに乗っかって喜ぶ人、コロナ禍でも平和な日本です。