起き上がり最中

 コンビニの棚に「起き上り最中」があったので、「あ~、よく見たお菓子の名前だ!」と思い、思わず買ってしまいました。2個入りで、餡が詰まったズッシリ重い感じが懐かしく感じられます。本当は最中の皮が上あごにくっついて、子供の頃から苦手なお菓子だったんですが、「起き上り最中」だけは特別なものだったイメージです。 

達磨の形をした最中の由来は、戦国時代に織田信長が岐阜城を攻めた際、幾度となくその制圧に失敗し、ようやく8度目にして岐阜城を攻めたてた時、「我まさに起き上がり最中(さいちゅう)なり」という言葉を残したそうです。その信長の言葉から、最中(さいちゅう)と最中(もなか)をかけて「起き上り最中」という名前がついたといいます。 

この最中、岐阜市柳ヶ瀬通りの株式会社 起き上り本舗で製造されており、最中の天辺まで餡がぎっしり詰まっているので倒れたら起き上がれません。達磨なのに!私のように下半身に重心があり、頭の中が軽くなっている者にとっては少々羨ましい程の餡が詰まっているのです。 

そんな中身の少ない頭に色々と詰め込もうとしているものの、今年はコロナ禍で各地のコーヒーセミナーが中止となり、先日のようにWebでセミナーを受講しても、コーヒーの臭いも味もないセミナーではもどかしくなるばかりで、頭を刺激する情報が得られません。ところが、コーヒー豆をお買い求めになる方と話をしていると、コーヒーとは関係がないものの、「へ~、こんな仕事もあるんだ。」と新鮮な話が聞けたりします。 

一人のお客様は歯科衛生士の方で、歯科医院にお勤めではなく訪問歯科衛生士をされています。主に老人や障害児への口腔ケアを行っておられますが、老人が亡くなった際に死後硬直前に口元のケアをされ、一般的な脱脂綿を詰めて行うものより笑顔が自然で、ご遺族の方々に喜ばれているそうです。限られた時間で行わなければならないため、想像できないご苦労もあるようでした。 

もう一人のお客様は初めて聞く「ペットシッター」です。ベビーシッターは知っていましたがペットシッターは初耳です。ホームページの言葉を借りると、「ペットホテルに預けにくい動物たちや、知人にお世話を頼みにくい動植物たち、そのご主人様が辛い思いをしないよう、サポートすることを目的として生まれました。人が共に暮らす生き物たちの為に何かを諦めなくていいように。離れている間も家族みんなが安心して過ごし、再会を楽しみにできるように。」という目的を持ってやっておられます。 

簡単にいうと、飼い主が旅行や出かける時、忙しくてペットのお世話ができない時、体調不良や不慮の事故などの際に、飼い主にかわって自宅に伺いペット達のお世話をすることで、ペット達は寂しいながらもいつもの家でいつも通りの生活ができというものだそうです。中には都合の良い時だけ愛玩する飼い主もいて、依頼があってもお断りすることもあるといいます。 

いままで何気ない挨拶や会話をしていたお客様も、ちょっとした質問や話題から今まで聞けなかったストーリーが飛び出します。感心したり驚いたり、重力で頭の上の方が空になったところへ良い刺激が詰まっていくような気がします。気がするだけかもしれませんが、「起き上り最中」のように楽しい話がいっぱい詰まるといいな。でも、それだとコケたら起き上がれないか?