コロナ渦での来店

 新型コロナウイルスの感染者数が急激に増えてきました。今月16日の参院予算委員会(閉会中審査)で参考人として発言した、東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は、新宿区に新型コロナウイルスのエピセンター(感染集積地)が形成されつつあると指摘しています。そして、総力で対策を打たないと、「来週は大変になる。来月は目を覆うようなことになる」と危機感をあらわにし、政府・国会・民間など総力をあげての対策を求めたのです。テレビで発言の様子を見ただけでも、切羽詰まった状態に近づいていることを感じるのでした。 

 そんな中にあっても、経済を回していかないといけないと「Go To Travelキャンペーン」は、東京を除くといった歪な形で始まろうとしています。確かに、観光業に関連する収益の落ち込みは激しく、前年の数パーセントしか売り上げの無いところが多いのが実情です。また、そうした観光地の飲食店も同様で、人手の減少が即、売上の減少に繋がる状態であり、先日営業にやってきた電子決済のセールスマンの話を聞いても、閉店に追い込まれている話を幾つも聞きました。 

 地方の観光地でもない立地にある「まめ蔵」においても、新型コロナウイルスの影響は大きく、来店数の減少は4月・5月の数字を見ても明らかです。7月中旬が終わってデータを更新しましたが、前年の来店客数を上回ることは出来ず、概ね前年の9割近くに留まっています。(昨年の6月上旬は旅行、7月上旬は入院治療があり一時的な減少) 

 来店客数というものは、地域のイベントや定期的な女子会(あえて女子という)の開催によって増減することがあり、一か月の間にも上下の幅があったりするものです。ところが、5月下旬から7月中旬までのグラフをみても分かる通り、ほぼ一定の来店客数を維持しているのです。コロナ渦によって人が集まる機会が減少し、それでも「まめ蔵」を利用されるリピーターの存在が、意外にも浮き彫りになった形です。これが、現在の「まめ蔵の集客力」といえるでしょう。 

 そうしたリピーターの方々に支えられてはいるものの、店の売上は客単価×来店数できまることから、減少することには変わらず、その不足分をコーヒー豆の売り上げでカバーしてきました。しかし、経済の落ち込みが続けばコーヒー豆の売り上げも減少していくことは明らかであり、打開策を考えなければなりません。よく安易な打開策として行われるのが、売り上げが減少しても収益を維持するため、原材料費を下げて補うことです。「安い原価の品に切り替えても分かんないだろ?」です。でも、これが一番やってはいけないことです。 

 幸いなことに「まめ蔵」は、これまでピークといったものを経験していません。というか、ピークはいらないと考えているので、広告媒体に載せたこともなく、口コミや勘違いで来店された方々のリピーターによって、底辺の少し僅かばかり上を狙いながら経営してきました。「上がれば落ちるけど、これ以上落ちても大怪我しないレベル!」というのが長続きのコツだと信じているので、この方針は変えないでいこうと思っています。それがコロナ渦でも生き残る術かもしれません。