願いの叶う人、叶わない人

 今年の七夕は、雨で星空を見ることが出来ませんでした。朝になって新聞を取りに行くと、玄関先に飾った七夕飾りには、短冊が跡形もなく無くなっています。家族の願いは聞き入れてもらえなかったようですが、梅雨前線による洪水や崖崩れにも見舞われることもなく、別の意味で感謝すべきでしょう。一夜にして全てを失った九州地方の方々を思うと、お見舞い申し上げますとしか言えません。 

 そんな一夜にして大きな変化が起きたのは、625日の日本時間深夜に行われた、カップ・オブ・エクセレンス(COE)エチオピア2020の国際オークションです。エチオピア初のCOEオークションで、スコア91.04を獲得して優勝したシダモ地区のニグセ・ゲメダ・ムデ(Niguse Gemeda Mude)のナチュラルプロセス・品種74158は、最高落札価格185.10ドル(2万円:1ドル107円換算)/lb.で落札されたのです。 

シダモ地区の村で、3 ヘクタールのコーヒーを栽培し、さらに 10 ヘクタールで野菜、小麦、テフ、大麦、竹の作物を栽培していた農園主は、年間15,000キロのレッドチェリーを生産してアフリカン・ベッドで自然乾燥させていました。しかし、そのコーヒー豆の販路は、地元の民間バイヤーとエチオピア商品取引所「ECX」に販売する術しかありません。それが、COEオークションによって努力に見合うお金を手に入れ、これまでの願いが叶ったことになります。 

今回、エチオピアで初のCOEオークションということもあってか、87点以上のスコアを獲得し入賞して国際オークションにかけられた28農園のコーヒーの平均落札金額は28.44/lbとなり、全ロットの累計落札額は134万ドルで、日本円にして約14千万円となり、過去最高額を記録したそうです。まるでご祝儀相場だ!(コーヒーにもご祝儀相場があるのかな?) 

 一位のロットは、1aを予想通り丸山珈琲を中心にしたグループが落札しましたが、1bは猿田彦珈琲が単独で落札しています。さて、1bをどんな戦略で販売するのか気になるところです。これまでのCOE一位は、ニカラグア:カトゥーラのナチュラル、グアテマラ:ゲイシャのウォッシュド、エルサルバドル:パカマラのアナエロビックです。コロナ渦でカッピングの機会を得ることができず、気になっても飲めないのが残念でなりません。 

 さて、願いが叶って大金を手に入れたエチオピアの農園主は、親戚縁者や業界の人々が多数押し寄せ、ある意味、人生が大きく変わってしまうんだろうな~。そんな大きな変化を望まない私の願いを書いた短冊は、「少しだけダイエットできますように。」でしたが、風に飛ばされ願いは叶わないのかな?