台風が過ぎ去った翌朝、我が家の庭に金木犀の香りが漂い始めました。そして、ゴミの集積場までいくと、近くの家々の庭からも金木犀の香りが漂ってきます。こうやって一斉に花開き、強い香りを放つ植物の仕組みに驚きながら、今年の香りは、忘れられない台風被害の記憶となって刻まれることでしょう。
そんな秋の香りには、先日食べた松茸(中国産)や、今回のような金木犀もありますが、コーヒーの業界でも秋の季節限定ブレンドなどといって、秋を連想させるオリジナルブレンドの名前で商売をします。・期間限定!秋の澄んだ空と紅葉をイメージした香りです。・濃厚なのに優しい、深いのに柔らかい。・豊かな実りの秋をイメージした、香りとコクが深いブレンドです。などなど。
でも、そうしたコーヒーに限って飲んでみると、実際のところ秋を感じる香りでもないのです。だって、そのコーヒーは春でも夏でもあるんですから。それを組み合わせて「秋の香り」っていったところで、コーヒーはコーヒーなのです。正直、身も蓋もないのですが。名前やラベルで「秋の香り」を押してもピンときません。
「まめ蔵」では、ブレンドは当初から1種類のみで、特に季節商品として名前やパックケージに工夫を凝らしていません。ちなみに、10月に販売の多かったコーヒー豆は、
・ケニア マサイAA
・コスタリカ・ブラックハニー
・コロンビア マクダレナSUP
・グアテマラ アンティグアSHB
といった具合で、年間を通じて販売順位には大差がないのです。(ただし、期間限定商品は除く。)
秋だからといって、それまでコーヒーを飲まなかった人が飲むようになるとは思えず、アイスからホットにして飲む量が増えたりとか、少し苦めのコーヒーが恋しくなることはあるかもしれません。でも、秋の香りがするコーヒーというのはイメージだけで、実際のところ無いような気がします。あるお店ではカッコ書きで、(個人差があります。)と正直な表現をしていました。こんなコーヒーなら飲んでもいいかな。
コメントをお書きください