イチジクのロールケーキ売り切れました

 一昨日にイチジクのロールケーキを作り、昨日はプリンとリンゴのケーキ、そして、今日は再びイチジクのロールケーキを作っています。その間にコーヒー豆の焙煎を繰り返しているので、来店客は多くはないのに動き続けているおかげで、心地よい疲れもあって夜は寝つきが良いのです。(いつものことですが)

 コーヒー豆は少量焙煎を心がけており、無くなったら補充の焙煎をし、商品棚には出来るだけ新しいコーヒー豆が並べるように、ケーキ類も少量だけしか作りません。というか、一人でやっているので作れないのが実態です。そのため、お店のドアを開けて「イチジクのロールケーキ無くなったの?」と声をかけていただくものの、「じゃあ、また来ます!」といってお帰りになる方もあったりと、お客様を逃す場面もしばしばあるのです。

 でも、それで構わないと思っています。お客様には新しいケーキや、新しいコーヒー豆を提供することが第一であり、それが「まめ蔵」の個性になるように、開業の段階で決めていましたから。とりとめて特別な商品や特別な演出ができないからこそ、扱う商品には丁寧・正直であることが、結果的にはお客様からの信頼を得る事になると信じています。

 過剰な演出や広告を行ったり、一人では対応できないのに、お客様からの要望だという理由から、商品の多様化を際限なく進めると、結局長続きしないとの考えもあり、いつもマイペーで、一人で出来る範疇を超えないよう心がけています。とはいうものの、迷うこともしばしばあり、ドリップバッグを作ってみようか?夏場はアイスコーヒー用のリキッドもいいかも?などと考えたりもします。

 確かにドリップバッグの需要はあるものの、そもそも挽いた豆を使用することに抵抗があるうえ、手作業でコーヒーを詰める作業は効率が悪いのです。大量に作るため業者へ焙煎豆を送って依頼することも可能ですが、在庫を抱えてしまうことを考えると現実的ではありません。手軽なドリップバッグではあるものの、手軽さと引換えに本来のコーヒーの香りを失う気がします。そして、ドリップバッグと焙煎豆のトータル販売量が、全体で伸びるのかも少々疑問が残ります。

 リキッドも最近流行ってきました。珈琲屋のリキッドコーヒーですから、市販品のようなロブスタをブレンドした物ではなく、アラビカ100%という特徴が出せ差別化出来るものの、取扱量が少なければ業者から完成品を仕入れることになります。それでは、パッケージには店名があるものの、中身は他店と同じになります。仮に大量に販売できる状況であっても、自分で焙煎した豆を業者に抽出と加工を任せたり、生豆を指定して焙煎・抽出・加工を依頼することになって、作業工程を見ずしてお客様へ「うちのコーヒーです!」といって提供することに抵抗を覚えます。

 結局、自分が本来何をしたいのか?というところに戻ることとなり、一人で長く続けられる店作りのために、今、何をすることがベストかを選択するのです。地域一番店を目指すわけでもなく、コーヒーマニア向けの専門店を目指すわけでもない、当たり前に昔から有るパン屋さんのような、気軽にドアを開けられて、ソコソコ美味しいコーヒーが飲め、そのコーヒー豆が買えること出来、家庭で楽しい時間を作るお手伝いをする店。さらに、いつもニコニコしている風変わりな店主の居る店。そんな店づくりに必要な品揃えを考えるのでした。

 そんなことを考えていたら、今朝作ったイチジクのロールケーキが売り切れました。明日はどうしよう?