ロブスタは所詮ロブスタか?

 『スペシャルティグレードのロブスタコーヒーを楽しもう!』、そんなタイトルのセミナーを見つけ、「ロブスタでスペシャルティグレード?そんなバカな!ロブスタは所詮ロブスタだろう。」と思ったと同時に、その真偽を確かめたくなり、お店を臨時休業にし、UCC神戸本社二階にあるUCCコーヒーアカデミー神戸校へ向かいました。

 一般的に、スペシャルティコーヒーといえばアラビカ種であり、アラビカ種と対をなすカネフォラ種(ロブスタ)にも、スペシャルティグレードのコーヒーが存在するといいます。今回のカッピングセミナーでは、スペシャルティグレードのカネフォラ種(ロブスタ)と一般流通品のカネフォラ種(ロブスタ)を比較カッピングしますが、「カネフォラ種の概念を覆す風味があるものもあります」なんていう案内文を見ると興味津々です。

 このセミナーに参加した理由には、もう一つ訳がありました。今年の3月に国内で初めてQロブスタグレーダーの講習会&検定試験が行われ、CQICoffee Quality Institute)認定ロブスタグレーダーが誕生したのです。けれど、Qロブスタグレーダーがアメリカで始まったのは何年も前のことで、随分年数が経過してから日本で認定プログラムが始まったことに疑問を感じていました。

 私自身もそうでしたが、ロブスタはインスタントや缶コーヒー用だと考え、低級品という認識で関心が薄かったのです。ところがここにきて、ロブスタコーヒーの品質を定め、区別し、客観的に評価することで、マーケットにその特徴を正しく伝えることのできる訓練された専門家となるQロブスタグレーダーを増やすことに、なぜ今このタイミングなのか?不思議でなりませんでした。

 栽培が難しいアラビカ種に対して、カネフォラ種(ロブスタ)は病気(特にさび病)に強いという特長があります。病気に強いという以外にも、成長が早い、果実の実りが多い、という栽培がしやすい品種であることから、世界的な生産量を見ても4割程がカネフォラ種(ロブスタ)です。

 しかし、病気に強くて栽培がしやすく、アラビカ種に比べて個性や品質には課題が残るカネフォラ種(ロブスタ)ですが、それを克服しようとする動きの一つに、今回のようなロブスタのスペシャリティコーヒー化があるのかもしれません。

 今回のカッピングに先立ち、ロブスタのカッピングフォーム(点数を付ける表)をもらいましたが、アラビカと少し異なる部分もあるものの、概ね似た形式で評価するものとなっており、80点以上がファイン・ロブ、90点以上がベリー・ファインと呼ばれることや、ナチュラルやウオッシュドも区別することなく評価することを知りました。

以下は、カッピングしたものです。

■アフリカ

・ウガンダ(ウオッシュド)78点・ルワンダ(ウオッシュド)82点・カメルーン(ウオッシュド)75

■インドネシア

・ジャワ(ウオッシュド)82点・ジャワ(スマトラ式)72点・ジャワ(ナチュラル)78

■ラテンアメリカ

・ブラジル(嫌気性発酵)85点・ブラジル(嫌気性発酵)83点・エクアドル(ウオッシュド)78

■アジア

・フィリピン(ウオッシュド)・インド(モンスーン処理)74点・インド(ウオッシュド)77

 これだけ多くのロブスタをカッピングできたのも、3月にQロブスタグレーダーの講習会&検定試験が行われたおかげであり、普段では絶対にカッピングできない貴重な体験ができました。そして、ロブスタの将来性や可能性を垣間見ることのできたのです。

 「ロブスタは所詮ロブスタか?」、確かに品質の面ではまだまだのようですが、コーヒー栽培にとって、病気に強く、成長が早くて果実の実りが多い栽培品種だけのコーヒー豆、ただ、それだけではないことがハッキリと理解できたことは、私にとって大きな収穫です。