ペットボトルで遊ぶ

 先日、世界最高品質のコーヒーを追求することで知られる川島良彰のミカフェートで、新たなブランド「CAFÉ REVOLUCIÓN(カフェ レボルシオン)」 シリーズが誕生し、ミカフェート各店で販売されることを知りました。

 スペイン語で「太陽」、「頂点」、「力強い」、「平和」、「栄光」を意味する、SOL「ソル」、PICO「ピコ」、PODEROSO 「ポデロッソ」、PAZ「パス」、GLORIA「グロリア」の5種類は、1180g990(税込)の豆の状態ではなく、最初から粉の状態で販売されます。高品質と高価格のミカフェートのコーヒーとしては、購入しやすい価格帯で正直驚きです。

 ミカフェートのコーヒーといえば高級イメージがあり、グレードごとに「Grand Cru Café(グラン クリュ カフェ)」、「RESERVA(レゼルバ)」、「NATURE CAFÉ(ナチュール カフェ)」、「Premier Cru Café(プルミエ クリュ カフェ)」、「COFFEE HUNTERS(コーヒー ハンターズ)」とシリーズ化されており、スペシャリティーコーヒー以上の高いクオリティを誇っていましたが、今回の「CAFÉ REVOLUCIÓN(カフェ レボルシオン)」は、コモディティコーヒーを使用しながらも高い品質を誇っているとか。

 気になったのは、「COFFEE HUNTERS(コーヒー ハンターズ)」を除き、鮮度保持のためにシャンパンボトルに密封しているのに対し、この商品は高気密ペットボトルを使用していることと、最初から粉で提供することでした。

 焙煎後のコーヒー豆は炭酸ガスが発生し、通常はパッケージにガス抜きの穴や弁が付いているものです。中には、ガスが出きってしまった焙煎後かなり経過した豆を真空パックする物もありますが、高品質を謳う豆ではありえないため、ペットボトルに粉の状態で入れることによる膨張が心配になります。そこで、市販のコーラを飲み干したペットボトルに、焙煎後にハンドピックした欠点豆を挽いて入れ、密封して膨張する状態を確かめることにしました。

 欠点豆であっても、焙煎状態は中煎り以上に焙煎されており、ハンドピックしたばかりの豆なので、豆を挽くと表面積が大きく増え、炭酸ガスが急激に発生します。封をしたばかりでも、ペットボトルを押さえるとコーラが入っていたような圧を感じます。この状態で2日間放置すると、もうパンパンになっていることが分ますが、正直、破裂するかも?と心配した自分が滑稽に思えてきます。そんな商品など最初から販売する訳がないですからね。

 気密性から考えれば、これ以上待っても漏れて膨れないだろうと考え、思い切ってキャップを開けることにします。あくまで自分のイメージでは、シャンパンのように開栓と同時にコーヒーの粉が飛び出すことを想像していたものの、実際は、「プッシュー!」の音と共に、コーヒーの良い香りが飛び出すだけです。なんとも呆気ない結果!

 『ニューズウィーク日本版』(2019430日号)の特集「世界が尊敬する日本人100」に、Challengers不可能を可能にする挑戦者たち)の部門で、コーヒーハンターの川島良彰氏が選ばれたこともあり、シャンパンファイトのごとく飛び出す予定が台無しでした。

 そんな事をして遊んでいたら、久しぶりにコーヒー豆を購入される方が続き、例年よりも長いゴールデンウイーク前だというのに、一部の豆やパッケージが不足していることに気づきます。慌てて注文しましたが、我ながら困った珈琲屋のオヤジです。なぜコモディティコーヒーなのか?なぜ粉なのか?なんて詮索せず、先ずは自分のところのコーヒーが欠品しないようにしなければ。