木根しだれ桃園+恵那峡の里

 桜前線も東北まで進み、各地で行われていた「桜まつり」も終了しましたが、20日には江南藤まつりが始まるなど、花の季節はまだまだ続きそうです。今回、ミツバチのように花を求めて車を走らせ、恵那市串原町で行われている「しだれ桃まつり」へ行ってきました。

 串原町は平成16年に旧恵那市と合併する前まで、旧恵那郡南部の岩村町・山岡町・明智町・串原村・上矢作町の41村に含まれる、地元では恵南地区と呼ばれる場所にあり、唯一「村」がつく田舎なのです。

 串原でイメージするのは「とんでもなく田舎」や、日帰り温泉「くしはら温泉ささゆりの湯」、そして、毎年秋に開催される「ヘボ祭り」です。ヘボとはクロスズメバチのことで、自分で育てた自慢のヘボの巣を全国の愛好家たちが持ち寄り、その重量を競うもので、毎年大変にぎわいます。(中学の恩師も参加)

 そんな「日本列島ダーツの旅」に出てくるような場所に、木根地区の住民でつくるグループ「きね四季花会」が、2011年から民家の敷地の一角にシダレモモを植え始め、木根しだれ桃園と名前を付け、シダレモモで有名な愛知県豊田市上中町で苗を買って増やしてきたそうです。現在は、約600本の紅白やピンクの花がのどかな山里を鮮やかに彩っています。

 早い時間帯で観光客も少なく、狭い駐車場に車を留めて散策すると、しだれ桃園の中にある民家から男性が現れます。「白い桃の花は見頃を過ぎてしまって申し訳ないネ。」と言われ、勝手に訪れている私は逆に恐縮してしまいました。民家の前には水田があり、鏡のように逆さ桃が映る工夫がされ、いわゆる「映える」景色になっています。

 そんな映える景色をスマホや携帯で撮影し、車で1分ほど離れたマレットゴルフ場の管理棟(土産物店)に行って、スタッフのおじいちゃんに見せると、地元の特産品が当たるくじが引けるのです。あいにくハズレでティッシュでしたが、SNSで若者に拡散してもらうアイデアや、手書きの雑な地図が書かれたチラシを見ると、お年寄りが地域おこしている姿が良く分かり、行政主体の町おこしとは一味違ったエネルギーを感じます。

 帰り際、「ここに写っている家は、そのバアさん家やで。」の一言で、地域イベントの良さを実感しながら、シダレモモの木が大きくなる2年後には、再び訪れたいと思ったのでした。

 帰り道の際には恵那峡まで寄り道し、恵那峡交差点付近の「恵那峡の里」行われている「芝桜 花桃祭り」を見てきました。ここは1万3千平方mの公園で、3万本の色とりどりのシバザクラと、400本の花桃の競演が楽しめます。この「恵那峡の里」は、串原とは異なり木曽路物産(本社・恵那市大井町)が所有、管理しているもので、整備されてはいるものの、串原のような魅力は感じませんでした。 

 花で彩られた光景は素敵ですが、その彩られ方は様々な形で行われています。一歩前に進むと花の見方も違ってくるから不思議なものです。