フィンランド陶芸

 今週、祝日の定休日を利用し、岐阜県現代陶芸美術館で行われている「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」へ妻と共に出かけました。この展示は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念するもので、茨城、東京、そして岐阜と巡回展示されており、最終日となる2月24日までには行こうと思っていたものです。
 この展示では、
・フィンランド陶芸の萌芽:創業当初のアイリス工房やアラビア製陶所で製作された壺や花器
・近隣諸国の影響を受けて:近隣諸国の影響を受けて陶磁器のデザイン性を高めようという動きが生じた1920年代から30年代後半の作品
・フィンランド陶芸の確立:第二次世界大戦後のオーガニック・モダニズムと称された作品
・フィンランド陶芸の展開:伝統的な陶板画とは一線を画す絵画的表現の陶板や皿
・プロダクト・デザイン:日本の美術や工芸にも影響を受けた日用品
 フィンランド陶芸の体系的な流れが分かる5章で構成されており、当時の時代背景をイメージしながら鑑賞することができます。
 こうした陶磁器の展示を鑑賞するようになったのは、コーヒーに深く関わるようになってからであり、日本一の生産量を誇る陶磁器の産地で育ち、両親がその地場産業に関わっていながら、鑑賞する物ではなく、お金になる物としての感覚しかありませんでした。土地柄多くの焼き物に出会うことがあることから、多少なりとも知識やロクロを回した経験はあるものの、正直、芸術と縁のない生活です。そんな私がコーヒーカップに端を発して、色々な作品を見るために各地の美術館へ出向くことになるとは、サラリーマン時代には夢にも思わなかったのですから不思議なものです。
 帰宅して気になったのが、アラビア製陶所という名前です。なぜ、フィンランドにアラビアなの?フィンランドの国民的製陶所として親しまれる名前が、遠く離れたアラビアの地と関係があるのか調べてみました。何のことはありません、工場がヘルシンキのアラビア地区にあり、港町ヘルシンキ港湾エリアには、世界各国地の地名を拝借して名前を付けた地区がいろいろあったというのが真相だそうです。