もみじ祭りの後

 昨日まで行われた「曽木公園もみじライトアップ」は賑わったようで、実行委員会のホーページには『11月18日(日)、ライトアップ最終日となった本日も、多くのお客さまにお越しいただき、10日間の開催期間としては過去最高となりました。曽木町活性化を目的にスタートしたこの事業は、町民を主とする実行委員会を中心に町内会連合会、町各種団体など地域住民が全てボランティアで参加し実施しているものです。試行錯誤を繰り返しながら回を重ねて20年…曽木公園を通して皆さんに曽木町を知っていただけたこと、皆さんと心通わせたこと…ライトアップ事業がなければできなかったことです。20年分の感謝をこめて…ありがとうございました。』とあり、20年前の手作り感がなつかしい気分になります。
 サラリーマン時代には同僚が関わっていたこともあり、その頃の関係者の努力や経緯、徐々に賑やかになっていく光景を見てきただけに、20年という月日の経過に驚かされると同時に、大きくなっていく町おこしイベントの難しさを感じます。メディアへの露出が増えたことで大渋滞が発生し、逆に足が遠のく地元の人達を見るにつけ、ちょうど良い規模にはいかないものだと思ってしまいます。
 そんな人混みだったイベント最終日の翌朝、曽木公園まで車を走らせて、静まり返った公園を一人、赤や黄色のじゅうたんを踏みしめながら歩いてみました。ライトアップされた公園が化粧を施した状態なら、今朝はスッピンのままのではあるものの、一人で紅葉を楽しむには十分美しい空間となっています。池に映る「逆さ紅葉」は見ることは出来ませんが、それが自然で素朴な小さな公園を取り戻したようで、なんだかホッとします。
 そんな曽木町では、23日(祝・金)10:00〜16:00、24日(土)9:00〜16:00の二日間、2015年3月に統合のために廃校となった旧曽木小学校で、『曽木 くらしのしるべ』というクラフト展が行われるようです。この地域で活動する作家たちが中心となり実行委員会が組織され、陶器、アクセサリー、木工、金工、布などの作品のほか、古道具や本、駄玩具など多彩な出展者が集まるようです。そのほか、各種ワークショップやフードもあるようですから、少し興味が沸いています。
 もちろんお店の営業日となるため見に行くことはできませんので、曽木公園の帰りに会場となる旧曽木小学校を覗いてみます。曽木郵便局の横を曲がると曽木支所があり、その先に校舎が見えてきますが、荒れ果てた状態のままです。こんな状態でイベントが開催できるのかと運動場へ登って行くと、校舎の壁に壊れた時計が10時50分を指したままです。
 実行委員会のホームページには、『曽木に生まれ育った人々に愛されていた学びの場、旧曽木小学校。変わらぬ姿で森とともにひっそりとたたずむこの廃校に、様々なジャンルのつくり手が集います。くらしを豊かにするモノ・コトを集め、新しい価値観と出あえる場をつくる。それが幸せな未来につながることを信じて。「新しい価値観と出会った鮮やかな記憶は いつまでも心の中に残り続け あなたのくらしの道しるべになる」かつて子どもたちで賑わったこの学び舎に、再び沢山の笑顔がこぼれますように。』とあるものの、荒れ果てた校舎の中で、再び時計の針を動かすことが出来るのだろうか?
 出店する人たちの多くが曽木に生まれ育った人々でもなければ、愛されていた学びの場でもない会場で、物販をすることが新しい価値観に出会うきっかけになあるのか?地場産業の人々が毎月のように各地のクラフト展で販売するのと何が違うのか?そうした活動が廃校になった小学校の再活用となるのか?曽木の人たちに笑顔がこぼれるのか?そんなことを思いながら旧曽木小学校を後にしたのでした。