のぶ味のおでん

 今夜は妻と二人で少し早めの忘年会をしようと、車で15分程かけて多治見まで向かいます。向かった先は、国道19号沿いにあるテナントの一角に、30年以上前から営業されている昭和感漂う「のぶ味」です。
 テレビで紹介されたこともある「味噌おでん」が名物の小さなお店で、入ってすぐ左にカウンター、右には小上がりの座卓、奥には小グループが宴会のできる部屋があり、中央のカウンターには赤味噌のおでんの大鍋がグツグツと煮えているのが目に入ります。
 のぶ味のおでんには、大根・厚揚げ豆腐・こんにゃく・卵といった定番の品以外に、大きなサイズの角煮が入っています。しっかり味が染み込んで柔らかくなった美味しい角煮は脂身がトロトロで、分厚いだいこんも箸で切ると煮汁が飛び散るほどジューシーで、みそが中心まで染み込んでたまりません。
 味噌おでんになじみのない地域では想像できないかもしれませんが、味噌辛くもなくまろやかで、子供のころ冬になると駄菓子屋の店内に置かれたおでんを思い出させる、なつかしい味でもあります。
 日頃から好き勝手に自由に暮らしている私には、数少ない妻への慰労の意味もあり、運転手兼ホストとしてお供し、カウンターに座って二人で美味しい料理に舌鼓を打つように目を細めたのでした。