希少なコーヒー豆?

 昨日の夕方、焙煎を終えて早めに店を閉めようと思った際、「コーヒー飲ませて!」とコーヒー豆を定期的に購入される方が来店されます。そして、コーヒーを飲みながら、「先日行ったお店で、希少なピーベリーという豆を使ったコーヒーを飲んだけど、特に美味しくはなかった。」と言われます。そこで、焙煎したてのコーヒー豆から数粒のピーベリーを抜き取り、こんなやりとりをしました。

 

私:「コーヒー豆は普通、一個の実の中に二個の種子ができるんですが、本来二個できるはずの種子が一個しかできない場合、通常より小さめでこんな丸い豆になります。こうした豆をピーベリー(丸豆)と呼び、普通のコーヒー豆のことをフラットビーン(平豆)と呼んだりします。」

 

客:「なんで、そうした豆になるの?」

 

私:「ピーベリーと言われる豆は、どこの産地やどんな品種の豆でもある程度あり、こうした小さめの豆には比較的多い割合で含まれていると思います。コーヒーの樹の中でも果実の発育が悪い部分に生じることが多いことから、充分な栄養がコーヒーの実に届かないとなると、二個を同時に生かすのではなく、片方の種子のみを生かす自然の仕組みなんでしょうね。」

 

客:「じゃあ、二個分の栄養があって美味しくなるの?」

 

私:「もともと充分な栄養が届かないというのが原因の一つと言われているので、確かに丸々として栄養たっぷりだと感じるかもしれませんが、コーヒー豆に含まれる成分には違いがないようですよ。」

 

客:「だって、希少なコーヒー豆だって書いてあると、美味しいかなって思うじゃない。」

 

私:「ピーベリーだけの豆は、形が同じなので均一に焙煎しやすいといわれます。けれど、こうして見てもらうと、中には未熟豆もあったりするから、味に影響ないように思います。確かにコーヒーの樹にはピーベリーは少なく、希少と言えるかもしれませんが、こうして目の前に直ぐに見つけられるし、商品として広く流通している訳ですから、それで希少と言えるかなんて正直微妙な気持ちです。生産量の多いブラジルでは、生豆をサイズごとに分別する過程でピーベリーの割合が高いロットのものを、規格上「ピーベリー」と呼んでいる場合が多いらしいですから、あなたが飲んだコーヒーの味のとおりです。美味しいピーベリーもあるでしょうが、そうでないピーベリーもあるのです。」

 

客:「なんか騙されたみたい?」

 

私:「ピーベリーが希少であることには間違いないのですから、騙されたというより勘違いしたというべきですね。」

 

客:「それって屁理屈!」

 

私:「世の中には、そんな言葉遊びがいっぱいあるじゃないですか。広告宣伝やバラエティー番組を観れば似たような事柄がありますよ。でも、それで多くの人が興味を持つ訳ですからね。わたしなんか、新商品という言葉につられて、ついついコンビニで無駄使いしちゃいます。」

 

お客様がかえられた後、辞書で「希少」を調べたら、「少なくて珍しいこと。きわめてまれなこと。また、そのさま。」とありました。さて、世の中は希少が氾濫しているのかな? 

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コメント: 2
  • #1

    帰山人 (木曜日, 08 11月 2018 16:05)

    ♪ チャンチャカチャンチャンチャチャンチャチャンチャン
    希少なコーヒー豆だと期待していたら美味しくありませんでした…
    痴っ希少~(チッキショ~) by 小豆太夫

  • #2

    まめ蔵 (木曜日, 08 11月 2018 22:24)

    座布団1枚!!