数字

  飲食業界は他の業界と比べて参入障壁は低いと言えます。「食品衛生責任者」さえあれば、調理師免許すら持っていなくても開業することが出来てしまうし、地方銀行はともかく地域の信金などでは融資も受けられます。実際、日本政策金融公庫の融資先の約20%が飲食店開業者だそうです。しかし、開業しやすい反面、多くの店舗が廃業に追い込まれてしまうのも事実です。

  そうならないために、経営に関する数字に対して神経質になってしまい、日々の売上ばかり気にする経営者もいます。ただ、現実には売上高に占める食材原価と人件費比率がどれくらいかといったFL比率(FとはFood(食材費)、LとはLabor(人件費)の略)も考慮しなければならず、私のように人件費を抑えて一人で営業する方法を取るなど、経営を続けられるような目線で全体を見なければなりません。

 お店ではAirレジというシステムを使用しているので、売り上げや来店客数、商品ごとの比率等を月単位や年単位で確認することができます。数字に関して曖昧にしない、いや曖昧に出来ない仕組みだからこそ、シビアに自分の店を見ることが可能なのです。そういう点では、時にはプレッシャーに感じることもあります。とはいっても基本は「楽しく!」なので何事もポジティブに考えているのです。

 そんな数字について、Airレジでは顧客データを呼び出すと、コーヒー豆を購入された会計日順にお客様データ一覧が表示されます。いつ購入されたのか、何回目の購入なのかが分かるのですが、最近リピーターになっていただいた方や、何と145回目といったお客様など、この数字を見るとただただ感謝の言葉しか出ません。

 この145回目という方はほぼ毎週来店していただいている訳で、本当にありがたいばかりです。そして、そのコーヒー豆を使ってカップに注がれたコーヒーは、一杯12gだとしても2,400杯以上となり、自分が焙煎したコーヒー豆をそれだけ飲んでいただいていると想像しただけでも喜びは倍増します。 

 だからこそ、数字を意識しながらも、「生まめを まめに焙煎し 楽しく まめに暮らす」を続けていくことが、お客様を裏切らないコーヒーの提供になると改めて思うのでした。