コーヒーが冷めないうちに

 「本屋大賞2017」にノミネートされた川口俊和の同名ベストセラー小説を、有村架純の主演で映画化された「コーヒーが冷めないうちに」が9月21日から劇場公開されることになります。

 この映画は、時田数が働く喫茶店「フニクリフニクラ」の、ある席に座ると望み通りの時間に戻れるという不思議な噂があり、過去に戻るには面倒なルールがいくつもあるものの、その全てを守った時、優しい奇跡が舞い降りるという話です。

 映画の公式サイトによれば、非常に面倒くさいいくつかのルールについて、

・過去に戻って、どんな事をしても現実は変わらない

・過去に戻っても喫茶店を出る事ができない。

・過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
・過去に戻る席には先客がいる。席に座れるのは、先客が席を立った時だけ。

・過去に戻っても、喫茶店を訪れたことのない人には会う事ができない。

とあり、並び順や文言が原作と多少異なるものの、ほぼ同じ内容でした。

 予告編を見てみると、ポスターをパロって作った私の画像とは大違い、可愛い有村架純が登場し、中年太りのオジサンがいるお店とは別世界です。当然のごとく、薬師丸ひろ子、吉田羊、石田ゆり子、波瑠のようなお客さんは実際に来店されることもなく。映画や小説の世界は夢をみているようなものなのです。

 だいたい、「後悔先に立たず」です。すでに終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないのですから、過去に決断した自分を認めたうえで、これからの決断に活かすしかないのだから。今の自分はそうした後悔の上に存在することを理解すれば、未来に向けて歩けるというものです。

 「コーヒーでも飲んで目を覚ませ!」って言ってやりたいのですが、よく考えてみれば、お店には目が覚めるような苦いコーヒーはありませんでした。