夢を形に

 誰でも寝ている間に夢を見ると思うのですが、私の場合は毎朝、見た夢を妻に告げています。時には、話そうと思った頃には忘れてしまうこともあり、夢とはそんなものだと妙に納得してしまうのです。

 ところが、今朝に限っては記憶にはっきり残っています。何せコーヒーに関する夢だったからです。馬鹿馬鹿しい夢の内容は、「自家焙煎珈琲店を何件か巡っていると、気になるお店に出会いました。中に入ると色々なコーヒーが並ぶ中に、インスタントコーヒーと書いた三角形の小袋があります。自家焙煎珈琲の店なのにインスタントとは変だと思い店主に尋ねてみると、細かく挽いたコーヒーが入った袋をカップに入れれば、インスタントコーヒーのように気軽に飲めるという説明です。」おかしな内容なのですが、夢の中では随分感心し、「これはいいことを聞いた。」と喜んでいる自分がいました。 

 そんな夢のことが気になって、お店に着いてから早速夢に出てきたコーヒーの小袋を作ってみました。そして、その小袋をカップに入れてお湯を注いでみるのですが、やはり充分コーヒー成分が抽出できず、やや茶色の薄い味の付いた液体にしかなりません。その結果に、夢の中の出来事なのだと納得したものの、夢を形にしてみることを楽しんでみたのでした。

 味のないコーヒーをすすりながら、「昨日、水出しコーヒーパックを作ったから、こんな夢をみたんだろうか?」と思っていると、以前来店された記憶のある方がカウンターにお座りになりました。前回は初めての来店で、会社勤めを辞めて珈琲屋さんを始めたいと思っていること、ネルで深煎りのコーヒーを淹れる方であることを思い出しました。そして、今回の来店では、その夢を形にしている状態で、11月以降にお店をオープンさせたいということでした。

 私のくだらない夢を形にした事柄とは違い、本当の夢を形にしようとしているのですから、なんとも楽しい話です。これまでの過程や今後の計画などを内容を聞きながら、自分が開業までに行ったことや開業後に経験したことを話し、来店されるお客様対応を見てもらいながら、まるで事例研究のように詳細ない部分について話をすることができました。結果として参考になったかどうかは分かりませんが、お互いにモチベーションの上がる時間が過ごせたと思います。

 「夢を形に」 と遊んでいたら、本当に「夢を形に」に繋がった日になりました。これこそ夢みたいです。