藩士の珈琲

 昨日は久しぶりに珈琲狂が来店され、いつものように珈琲談義に始まり、最後には体の下の話まですることになりましたが、その中で、「藩士の珈琲」という興味のある内容がありました。それは、日本で8番目にコーヒー飲料を飲んでいるという青森県で、その中の、弘前の成田専蔵珈琲店の成田専蔵さん話題になった時のことです。
 話は約150年前まで遡り、1855年、江戸幕府の命により対ロシアとの北方警備のため、弘前藩士が蝦夷地(現・北海道)に赴き、その時の寒さやビタミン不足による不治の病・浮腫病の予防薬として配給されたのが、なんと珈琲だったそうです。当時、コーヒー豆は東インド会社から入ってくる和蘭(オランダ)から長崎の出島を通じて入ってきており、高級藩士、通訳、遊女など一部の人しか飲めなかった高級品が、蝦夷地で弘前藩士に飲まれていたとは意外なものでした。
 そんな歴史的背景があることから、弘前の珈琲文化について研究をされている成田専蔵さんが中心となって、「弘前は珈琲の街です委員会」を発足し、珈琲の歴史を少しでも感じてもらうため、藩士たちが薬として飲んでいた珈琲を再現し、「藩士の珈琲」として市内10箇所の喫茶店にて提供しているそうです。
 ちなみに、当時の作り方を古文書にあるとおりに再現した『藩士の珈琲』は、
1.すり鉢に焙煎豆を入れ、よくすり潰して粉にし、麻袋に入れる。
2.お湯を入れた土瓶の中に麻袋を入れ、振り出しながら色の出具合を見ていく。
3.湯呑み茶碗に注ぎ、お好みで砂糖を入れて飲む。
 分かりやすく言えば、ティーバックに入れたコーヒーを上下に揺らして飲むってことなんでしょうか。そんな「藩士の珈琲」を想像していたら、その当時のコーヒー豆はモカ?インドネシア?焙煎はどうしたのか?などと疑問が湧き出てきます。
 今回、珈琲狂が来店されていた間に常連さんもカウンターに座り、コーヒーについて話をしていたのですが、コーヒーの知識も少なく、珈琲狂のことも知らない人に自分を説明する姿を見て、ちょっとばかり楽しい気分になりました。きっと奇人変人にしか思えなかったであろうな。(事実そうなんだけれど。)

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コメント: 2
  • #1

    帰山人 (日曜日, 22 7月 2018 13:15)

    そして成田専蔵も知らなかったし臼井隆一郎も知らなかった話がコレ↓
    http://kisanjin.blog73.fc2.com/blog-entry-303.html
    藩士の珈琲と日独の交流の起点が繫がる…これだから珈琲の歴史はおもしろい。

  • #2

    まめ蔵 (日曜日, 22 7月 2018 14:25)

    おもしろいネタの提供ありがとうございます。そちらの方に興味がそそられると、いつまでたっても「スペシャリティーコーヒー物語」が読み進められなくなりそうです。嬉しいやら、困ったやら、これだから珈琲の歴史はおもしろい。