長寿銭

 埼玉県の方から、葬儀の会葬礼状と一緒に「長寿銭」と書いたポチ袋をいただきました。中には100円硬貨が入っています。葬儀に関する風習は地域によって異なることは知っていたものの、初めて「長寿銭」を貰い、意味合いは何となく分かりましたが、どうしたものかと調べてみました。

 この「長寿銭」を配る風習は群馬県を中心に、埼玉、千葉の一部でもあるようで、亡くなった故人が長寿であったことにあやかり、長寿銭を持ち帰った人も長生きできるようにといった願いや、大切な家族を失った悲しみと同時に、天寿を全うできた大往生を祝うという思いがあるようです。

 

 中に入れる硬貨にも意味合いがあるようで、

5円玉:ご縁があるように

10円玉:十分(充分)に生きる

50円玉:十分なご縁、5重の縁

100円玉:100のご縁

500円:最大の効果(硬貨)

といった語呂合わせや、硬貨に描かれた稲穂が、故人の成熟さを表したり、描かれた「常盤木」が1年中緑の葉を絶やさないことから、永久を示すものまで理由付けがされているようです。

 そんな「長寿銭」という珍しい風習を知ったのですが、考えてみれば東濃地域の一部や自分たちが住んでいる町では、香典返しをビール券一律何枚といったように受付で渡していることが多く、そのため、中身のない香典を受付に渡して金券であるビール券を頂戴する、香典詐欺なんて話も聞くぐらいですから、こちらの方が変わっているのかも知れません。

 いずれにしても、自分のルーツである先祖や亡くなった方と向き合い、どのように接するかというのは大切な事だと思うのです。先日も、仏具を扱う製陶業者の方と話した際、以前には特別視されていた家族葬も一般的となったと話題になりました。

 最近では葬儀を行わない直葬といって、直接火葬場へ行くものから、収骨もほんの一部を家族で分け合い、ペンダントに入れて身に着けたり、遺品と共に格納する小瓶のような物に保管するなど、供養の仕方も様々なようです。時代に合わせた仏具作りに苦心されている話を聞きながら、自分の時にはどのようになるのか気にしつつも、その時には世に居ないので考えても仕方がないかと納得しました。

 納得できないものが、収骨すらしないケースもあるようで、「残った骨はどうするのですか?処分するのなら全て処分してください。」といって遺骨も不要という人も居るようです。亡くなった人と向き合おうともせず、存在すら無かったものにしようというのでしょうか。今の自分を無視して。

 そんな話をしていたことを思い出しながら、「長寿銭」に込められた願いを知るのでした。 ※自分の時はコーヒーでも配ってもらおうかな。