岐阜大仏

 「YAJIMA COFFEE(ヤジマコーヒー)」の窓から見える岐阜城を眺めていると、30年前に妻との一泊旅行で、鵜飼と岐阜城を観光したことを思い出しました。そういえば、金華山のロープウェイを降りた後、近くのお寺で大仏を見た筈だと思い、店主に聞いてみると、歩いていけるほどの場所にあることが分かります。確か、大仏を見終わってから境内の茶屋で美味しい菜飯と田楽を食べた記憶が蘇りました。「確かにあったと思いますが、土日しかやってないかも。」という店主の言葉が気になるものの、近くの駐車場に車を留めて歩いて向かいました。
 私が見た大仏は、「岐阜大仏(ぎふだいぶつ)」と呼ばれるもので、岐阜市の黄檗宗金凰山正法寺(おうばくしゅうきんぽうざんしょうほうじ)にある大仏です。日本三大仏の一つと言われることもある(お寺のチラシに書いてあった)、岐阜県重要文化財指定でもあります。
 釈迦如来の大仏は、天保3年4月(1832年)に、38年の歳月を費やして完成されたもので、像高13.7m、顔の長さ3.63m、目の長さ0.66m、耳の長さ2.12m、口幅1.31m、鼻の高さ0.36m。最大の特徴は、日本最大の乾漆仏であるという事です。周囲1.8mのイチョウを真柱として、木材で骨格を組み、竹材を編んで仏像の形を形成し、この竹材の上に粘土をぬり、一切経、阿弥陀経、法華経、観音経等の経典が書かれた 美濃和紙を張り付けて漆を施し、さらに金箔を施してつくられています。
 なお、その経典は当時の住職が読み一枚一枚貼られており、そうしたつくり方から、別名を「籠大仏(かごだいぶつ)」というそうです。 全身が金箔で覆われ、穏やかな顔とあいまって独特の雰囲気があり、奈良の大仏や鎌倉の大仏と異なって乾漆仏の為、 損傷に対して脆いということです。
 日本三大仏という言い方には諸説あり、大仏として有名なのは「奈良の大仏」と「鎌倉の大仏」ですが、三番目については、戦前までは「兵庫大仏」が三番目に数えられていましたが、戦時中の金属回収令で取り壊されたため、三番目を全国各地で争う状況となっています。ちなみに、日本三大大仏を掲げている大仏は、「岐阜大仏」を始めとして「高岡大仏」「兵庫大仏(再建)」「日本寺大仏」「牛久大仏」「東京大仏」「赤田の大仏」などがあります。
 肝心の菜飯と田楽ですが、拝観料を収めた際に住職に聞いてみると、「今はやっていません。あの頃は忙しくって大変で、15年ほど前に止めてしまいました。」とういことでした。30年前の思い出に一人で浸ろうと思ったものの、そう簡単にはいかないようです。また次回に、妻と再び訪れることにしましょうか。