マークはいらない

 今週は、車椅子を利用してのお客様が2名ありました。車椅子が入れるドアの幅やスロープなど、バリアフリーを意識した店舗にしているので、より多くの方が今後も利用されることを期待しています。初めて来店された方から、「なんだか敷居が高そうで入りづらかったわ。」と言われることがありますが、敷居が高いどころか敷居がないお店なのです。
 でも、このバリアフリーという言葉にも複雑な思いがあります。平成18年12月に「バリアフリー新法」が施行されましたが、この「バリアフリー新法」の正式名称は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」といい、従来のハートビル法と交通バリアフリー法を一体化させたもので、「障害者や高齢者のために…」という枕詞が必ずついています。「住民の幸せのために」ではなく、高齢者や障害者のための表現が、一部分の人たちのためという限定的なものに聞こえてなりません。
 誰でも便利にという意味では、ユニバーサルデザインというものもあります。このユニバーサルデザインとは、文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいいます。そして7つの原則というものもあり、
<ユニバーサルデザインの7原則>
1. どんな人でも公平に使えること
2. 使う上で自由度が高いこと
3. 使い方が簡単で、すぐに分かること
4. 必要な情報がすぐに分かること
5. うっかりミスが危険につながらないこと
6. 身体への負担がかかりづらいこと(弱い力でも使えること)
7. 接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること
 一見素晴らしいもののようで、実はこうしたユニバーサルデザインにはコストが伴うため、身の回りの物に普及するには時間がかかりそうです。
 お店には車椅子の方や聴覚障害者の方が来店されますが、一見、一般の方と同じように利用されているようですが、他のお客様がいない時間帯や駐車場に車が無いことを確認されてからドアを開けられているのです。要は来店される側が気を使うなんて、コーヒーで癒される以前のバリアがある訳です。
 こうした「心のバリアフリー」とでもいうのでしょうか、偏見や固定観念など私たちの心の中に潜む目に見えない壁をなくし、年齢・性別・障害・国籍の違いに関わらず、誰もが気にせず住みやすいバリアフリーとは難しいものです。
 「この店はバリアフリーです。」なんてマークを掲げる必要もなく、普段どおりに気軽に誰でもコーヒーが飲めるお店にしたいと思いながら、車椅子で帰られる方をお見送りするのでした。