花桃の里へ

 今日は、阿智村へ花桃を見るために妻とドライブです。伊那谷から木曽谷を結ぶ国道256号線は「はなもも街道」といわれ、約40kmにわたり10,000本の花桃が植えられています。本来ならば昼神温泉から阿智村役場周辺が見頃となるのですが、今年は桜や藤といった花の開花が平年よりも早いように、花桃も落下がしている所が目立ちます。そこで、標高の高い月川温泉周辺に向かってみると、一部に花の落下が始まっているものの、まだまだ見ごたえのある花桃を見ることができました。
 赤、白、ピンクの3色の花が咲き誇る景色のグラデーションに見とれながら散策し、花桃まつり期間中に設けられた、地元農産物や加工品が並ぶテントで買い物に夢中となっている妻を横目に、月川温泉郷一体に植えられた約5,000本の花桃を再び眺めているのでした。
 ところで、名前に“桃”と付く花桃ですが、食用の桃と花桃はまったくの別物で、果実ではなく“花”を楽しむ観賞用の園芸種として開発された品種だそうです。阿智村で花桃が盛んに植えられた歴史は大正11年までさかのぼり、福沢諭吉の娘婿にあたる福沢桃介氏が、ミュンヘンで見た3色の花桃の美しさに感動し、3本の苗を購入したことからスタートします。日本に帰った桃介氏は、自身が社長を務めていた須原発電所(長野県大桑村)の構内に、持ち帰った花桃を植えました。

 その後、発電所に勤めていた妻籠宿(南木曽町)出身の藤原長司が、阿智村へと続く妻籠の国道256線沿いに植栽し(昭和23年)、これが、車窓から花見が楽しめる「はなもも街道」の始まりと言われています。

 月川温泉「野熊の庄 月川」近くの駐車場から散策道を通って歩きましたが、観光客も多くて賑やかな光景の中、神橋の上に泳ぐ鯉のぼりと花桃が何とも素敵な気分にさせてくれました。