泣けるのか?

 ネットニュースを見ていたら、女優の有村架純が、自身のインスタグラムで主演映画『コーヒーが冷めないうちに』のクランクアップを報告したとありました。「そうか、映画化になるんだった。」と思い出しながら、映画になったら一回くらいは泣けるのかな?なんて考えています。なにせ、「本屋大賞2017」にノミネートされ、SNS上では「4回泣ける!」と評判の感涙小説だったのに、結局一度も泣けなかったのですから。
 この『コーヒーが冷めないうちに』は、川口俊和氏が主催する劇団で舞台として上演されたのち、川口氏自身により書籍化され作品です。物語の舞台は店内のある席に座ると望んだ時間に戻れるという都市伝説のある喫茶店「フニクリフニクラ」です。ただし、時間を遡るには次のような条件付きです。
・「過去に戻って何をしても現在は変わらない」
・「過去に戻る席には先客がいて、席に座れるのは先客が席を立った時だけ」
・「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでからそのコーヒーが冷めるまで。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなくてはいけない」
・「過去に戻っても喫茶店を出ることができない」
・「過去に戻っても喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない」
 などといったルールがあり、ストーリーを面白くするため次々とルールが加わったように思え、登場人物の人間模様が手薄になっていると感じました。
 元々舞台での作品なので、映像になれば楽しめる作品になるのではと、ちょっと期待しています。なぜなら、監督がTBS系連続ドラマ『アンナチュラル』や『リバース』(17年)など、人気ドラマの演出を手掛けてきた塚原あゆ子氏ですから。9月21日から全国東宝系で公開される日を待つことにしましょう。
 若い頃は過去に戻りたいと思ったこともありましたが、良くも悪くも自分が生きてきた時間を受け入れることの出来る年齢になったのか、過去に決断したことに対して後悔をすることがあっても、それを含めて今の自分があると考えられています。全ては現在と未来だと理解すれば、限りのある時間を生きているのだから、伝えたい想いは相手がいる間に伝えておきたいと実践しています。結局、何をやっても後悔するのかもしれませんが、気休めにはなるでしょうからね。

 私の店は過去にタイムスリップすることは出来ませんが、ちょっと美味しいコーヒーが幸せな気分にさせることぐらいでしょうか。パッとしないマスターですが、笑顔だけは飛び切りのもを提供します。