生存率

 毎回カウンターに座ってコーヒーを飲まれる方から、「飲食店は3年もったら5年続けられ、5年続けられたら10年続くっていうから、マスターも頑張ってね!」と言われたことがありました。同じように、開業前に受講した金融機関主催の開業セミナーでも、「飲食店は開業後の生存率が特に低いです。」との説明を受けたのです。

 実際、居抜き情報.comのデータを見ても、営業年数別の閉店割合は次のあように、

1年未満:2,243件(34.5%)

1~2年:987件(15.2%)

3~5年:1,364件(21.0%)

6~10年:1,113件(17.1%)

11~15年:380件(5.9%)

16年以上:407件(6.3%)

となっており、飲食店は起業2年以内に50%の確率でつぶれる実態があります。

 ちなみに、国が調査したデータによると、企業全体の生存率は1年後73%、5年42%、10年後26%となっており、規模の大きさに関わらず、どんな業種であっても生存率は決して高くはないので、開業から間もなく3年になる「まめ蔵」は生存した50%に入ることになりますね。

 飲食店の生存率が低い理由として、開業のためのハードルが低く誰でも始められるため、開業後に生き残るための様々な努力を怠ると続けられなくなるようです。特に、開業前に失敗しないための事業計画をしっかり行い、より顧客が入る店づくりや、リピーターとのより良い関係づくりが必要となります。自分自身も常に意識しているところですが、客観的な視点がなければと思う時もあります。

 今年の5月から4年目を迎えますが、上記のデータを見て分かるとおり、1~2年の15.2%よりも、3~5年の方が21.0%と生存率が低くなっています。これは、開業当時の繁忙期から、年末や年度末を3回も無事に乗り越えたので、少し人間としての欲が出るそうなのです。「もっと売り上げが伸びないか、利益をもっと増やせないないだろうか。」といった欲が、さらに新商品の開発や工夫で売り上げを伸ばば良いのですが、同じ売り上げで利益をより多く残そうとして道を誤るようです。

 「まめ蔵」を始めた理由は、「まめ蔵への想い」の中で記載しているとおりであり、自分が生まれたこの地域で、「町の珈琲屋さん」とて長く続けられるよう、自分自身を高めながら店と共に成長できたらと考えています。そのためには、利益を増やすことよりも、お客様と自分自身の喜びを増やすことを第一にしたいと思います。何より、限りのある人生だと感じる年齢になったからこそ、限られた時間をより良い物にしたいですから。