統計資料を見ながら

 今日は朝から晴天に恵まれ、一日お日様が注いでくれそうです。けれど、外気は未だ冷たく、お客様の足取りも重そう。まあ、金曜日は来店客数の少ない日なので、こんな時は普段できない事をしようと、久しぶりに全日本コーヒー協会の統計資料を見てみます。

 分かってはいるものの、喫茶店の数は1981年の154,630から減少の一途をたどり、2014年には半数以下の69,983になっています。それに反して、コーヒー輸入量は確実に増加している訳で、その多くがスターバックスを筆頭とする、大手コーヒーチェーンの店舗数増加に表れています。

 スターバックコーヒージャパンが運営するスターバックスのライセンスを含む店舗数は、2005年の551店舗から2017には1260店舗と2.3倍増加し、タリーズコーヒーは1997年に東京の銀座に1号をオープンして以来、2017年3月には656店舗に増やしています。ドトールはスタバーバックス上陸前に店舗数を増やしましたが、現在は縮小しつつも、新業態の「エクシオールカフェ」や「星乃珈琲店」が順調に拡大しています。そして、東海地方を地盤とするコメダ珈琲といえば、2012年2月末の435店舗から2017年8月末には764店舗まで規模を拡大しているのです。

 これだけの数字を見ただけでも小規模の喫茶店経営は困難必至で、大手コーヒーチェーンの独壇場と言えます。では、自家焙煎珈琲店なら大丈夫かというと、自分を含めてここ数年で「雨後の筍」のように増え続けた訳で、そろそろ飽和状態と言ったところでしょうか。だって、家庭での一人当たりのコーヒー飲用杯数は、2002年の6.27杯から2016年の6.89とほとんど横ばい状態ですから、今後は徐々に淘汰されるのかも知れません。実際、ブームと言われて広まった頃には後退期と言われるくらいです。

 では、いったいどうすれば良いのかというと、正直、私自身も明確に答えることは出来ません。けれど、先月訪問したカフェ・バッハの田口 護さんが、著書の「カフェを100年、続けるために」に書かれたように、『大手チェーンの高度なシステムは、とても個人店には太刀打ちできるものではない。でも、エモーショナルな部分、驚きや感動はシステム化できません。人に驚きや感動を与えるには、相手の喜びを自分の喜びとし、相手の痛みを自分の痛みとできる人材の育成が欠かせません。そうした、人間にとって一番大切な感情を育んでくれる、この山谷という地域は、私たちにとって日本一良い場所なのです。』の言葉を手掛かりに、自分らしく努力したいものです。

 さて、午後の焙煎をしましょうか。