間違ったイメージ

 今朝の冷え込みは今年一番でした。昨晩に降った雪に覆われたビオラを見ながら、「今日は寒いから来店客も少ないだろうし、本でも読もうか。」と、先日見た映画「阪急電車 片道15分の奇跡」の原作である、「阪急電車」(著者:有川浩 発行:幻冬舎)を読んでいました。

 この本はブログを見ていたお客様から「読んでみて!」と貸していただいたもので、映画と異なる文字の世界で何度か乗った阪急電車を想像します。映画では使用されなかった短編や、やかましいオバチャンを時江が論破するシーンがカットされる内容を読みながら、再び電車に乗った気分になりました。

 そんなことをしていると、前日の残り雪も解け、ビオラも元気を取り戻したように咲いています。こうした光景を見ると「植物は強い!自分も頑張らねば。」と思いがちですが、冬場に咲く花は寒さに耐性があり、氷点下10℃くらいまでは枯れないそうです。逆に暑さには弱くて、多くの場合は夏の暑さや水不足で枯れてしまうのですから、やはり人間の方が環境に順応性があり強いのです。イメージって、自分の都合の良い方向へついつい導いてしまいます。

 コーヒーにも同じようなことが言えます。午後に来店されたお客様から、「ここのコーヒーはスペシャリティーですか?」「シングルオリジンですか?」と尋ねられ、一般的にはそう言われているものであることを回答しましたが、同時に、スペシャリティーやシングルオリジンの定義を明確に答えられないので、そうした表記を行っていない旨の説明をしました。

 個人的には「このコーヒーは美味しい」で良いと思っており、そのコーヒーに興味を持ったら、どこの国で、どのように栽培され、どのように精選されたのかに関心を持ってほしいのです。ブランド表記やスペシャリティー、シングルオリジン、有機栽培、フェアトレードなどなど、そうした言葉が勝手にイメージを作ってしまい、本来「自分はこのコーヒーが好き!」という単純な選択が惑わされてしまいます。

 先月、ペルーのCOE(カップ・オブ・エクセレンス)コーヒーをカッピングしましたが、86点に基準が上がってしまった理由や、点数の評価が国ごとに異なったり、バイヤーの意図でサジ加減のような駆け引きが起こるのかを知るにつけ、売る側の作ったイメージに乗っかるよりも、「このコーヒー好き!」だけで良いと思うのです。

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コメント: 4
  • #1

    読者 (水曜日, 07 2月 2018 12:10)

    はじめまして、コーヒーに興味がありこのブログへ来ています。楽しく拝見させて頂きありがとうございます。コーヒーを常飲するようになり1年間が過ぎようとしています。最近思う事は各国のコンテストで評価を得てその年生産された一番新しい豆を焙煎して2~3日間、置いた挽き立ての豆をプロが淹れるコーヒーをお店で喫してみたいという曖昧な妄想願望があります。新鮮=香味や風味は感じやすいのか?
    新鮮=美味なのか?体感してみたいのです。推測ですが私は酸味が苦手です。元来は甘党です。新鮮=酸味強?→美味NGな気がします。それでも香味や風味(香味と風味の違いが分かりませんが)が感じられるか知りたいです。他の方達は分かりませんが私の願望は夢物語だと思っています。このような類似する思いを持ったお客様は少なくないのでは?と記事を読んで思いました。




  • #2

    まめ蔵 (水曜日, 07 2月 2018 13:04)

    ・残念ながらCOEの豆は当店では扱っておりません。都市部の有名店ではCOEを売りにして販売されていますので、検索されることをお勧めします。
    ・プロが淹れるといっても店頭に立って淹れる人は誰でもプロになります。必ずしも貴方より上手く淹れる人がプロだとは言えないのが現実です。ご自身で納得する淹れ方を学ぶことが意外に近道だと思います。
    ・最近は焙煎日を表示する珈琲屋さんも増えました。そうした豆を使って飲み比べをしてみてください。そして、自分の飲んだコーヒーの焙煎日、銘柄、焙煎度、どの店かなど記録すれば、具体的な好みが解るはずです。曖昧なものを具体的にすれば本質が見えてきます。
    ・この店を利用される方の中には、自分で手回し焙煎や手網焙煎をされる人もいて、コーヒーを飲むだけの楽しみに留まらず、広く楽しんでおられます。妄想や願望でなく、何か始めてみてはどうでしょうか?

  • #3

    読者 (火曜日, 13 2月 2018 13:35)

    丁寧なお返事ありがとうございました。コンテストに選ばれた豆だけが新鮮で上質で美味しいとは思っていません。私の妄想願望は強く叶えたいとも思っていないです。オークションバイヤー兼コーヒー店経営者であれば別ですが妄想でなく幻想の憧れに止めておきます。ご自分達で焙煎するお客様も来店されるとはコーヒーマニアなお店でもあるのですね。機会あればいつか伺いたいです。私は全くの初心者ではありません。他の人が飲んだら不味いと思われるかもしれませんが自分では美味しく淹れられる回数が増えてきています。焙煎は私にとっては敷居が高く感じてしまいまだ自分で挑戦してみようとは思えないです。行動出来る人は凄くうらやましいです。安心して下さい。ゆっくりとはマイペースで進んでいます。


  • #4

    まめ蔵 (火曜日, 13 2月 2018 14:13)

    「安心してください! 私もマイペースでやっています。」コーヒーは嗜好品ですから楽しむことが一番です。人によって楽しみ方は色々なので、あなた自身の楽しみ方を続ければ良いと思います。あなたが淹れた一杯のコーヒーが幸せな時間となりますように。