電車に乗りながら

 電車に乗る機会は激減し、年に数回程度となりました。先日のカッピングセミナーで東京に行くため、久しぶりに長い時間を電車に乗るので、どうやって時間を過ごそうか考えてしまいます。本を読もうかと思ったのですが、結局Amazonのプライムビデオから映画をダウンロードし、のんびりしようと決めたのでした。選んだのは「阪急電車 片道15分の奇跡」(2011年 監督三宅喜重)。

 電車に乗りながら電車のドラマを見るという訳です。ストーリーはこんな感じ。『宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の、阪急今津線。その電車に、さまざまな「愛」に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた。電車内という限られた空間で、それぞれの人生がほんのちょっと重なり合い、影響し合い、そして離れていく--。数々の出会いが重なり、そこに生まれる小さな愛の奇跡。勇気を持って踏み出せば、いつもとは違う景色が、人生が、そして素敵な出会いが“あなた”を待っている。(C)2011「阪急電車」製作委員会』

 今回、数か月ぶりに電車に乗りましたが、誰もがスマホやゲーム機を覗き込んでいます。一部の乗客が大声でしゃべっていても、注意したり声をかけたりする人なんていないだろうし、たとえ女性がウェディングドレス姿で泣いていたとしても、決して話しかける人はいないでしょう。当然と言えば当然な訳で、少しだけの勇気で話しかけることから始まるドラマのようにはいきません。

 お店でお客様がカウンターに座られた場合は、必然的に会話をすることになりますが、会話が苦手で上手に話せないものの、コーヒーを通じて素敵な出会いに繋がることもあります。「奇跡」といえるような出会いにはなりませんが、コーヒーに助けられています。

 ラストのシーンで、高瀬翔子(中谷美紀)の「なんかさ~。悪くないよね、この世界も。」に答える、森岡ミサ(戸田恵梨香)の「はい、悪くないです。」の言葉に、思わず頷いてしまう私でした。