珈琲屋に痛風なし!?

 

 昨日、お客さんから「焙煎したてのコーヒーを飲むと痛風にいいって?」と、尋ねられました。どうよら、中日新聞の朝刊にそんな記事が出ていたようで、帰ってから新聞を開いてみると、このような記事がありました。

 『コーヒー豆 痛風を香撃』(タイトル)「コーヒー豆の香り成分に痛風防止効果。コーヒー用ミルク「スジャータ」のめいらくグループ(名古屋市)は、焙煎(ばいせん)後のコーヒー豆から出るガスに含まれる香気成分に、痛風の原因となる血中の尿酸値の上昇を抑える効果があることを突き止めた。日本食品科学工学会誌二月号で発表する。」といったものです。さらに、「これらの有効成分は焙煎後、豆から徐々に二酸化炭素とともに放出され、減っていくことが明らかになった。実験では、焙煎直後から四十八時間までの抽出液を与えると、マウスの尿酸値が水を飲ませた場合と比べて二~三割減少した。だが、七十二時間や九十六時間では有意な差がなかった。」要は焙煎したてを維持するため、液体窒素で急冷した独自製法で出荷しているという、同社のPRみたいな記事ですね。

 こうした「コーヒーは〇〇に効く!」っていう話は山ほどあって、正直うんざりしてしまいます。健康は日常生活の中で取り戻さなくてはいけないのに、「特別」、「レアな」、「貴重」といった形容詞で安易に健康が手に入るような言い回しには疑問を感じます。珈琲屋さんの多くが焙煎したてのコーヒーを飲んでいるはずなので、珈琲屋さんには痛風の人はいないってことになる訳で、「珈琲屋に痛風無し!」と言っているようで、????です。

 

そもそも痛風の原因は、公益財団法人痛風財団によると、「血清尿酸値を上昇させる要因は遺伝的要因と環境要因に分けられます。最近の研究により、そのどちらの要因も詳細にわかってきました。」とあり、遺伝的要因は少なく、主に食生活やアルコールの摂取、過度のストレスや過度の運動が原因とされています。そうした原因を抜きにしてコーヒーと健康を記事にすることに違和感を覚えるのです。

焙煎したてが必ず美味しい訳ではないし、もっと気楽にコーヒーを楽しめる生活環境の方が、結果的には健康的に暮らせるのではないかと思うのです。