犬山散歩(2)

 犬山の城下町を後にして、角の信号から犬山駅の方向へ歩いていると、一軒の洒落たカフェが目に留まります。お店の名前は「FOYER(ホワイエ)」。10席程の小さなカフェなんですが、先ほどの古めかしい光景から打って変わってハイカラな雰囲気な場所で、ついつい引き込まれて入店します。

 ホワイエとは、劇場やホールなどの、入口から観客席までの広い通路のことをいい、主に幕間の休憩や、社交の場として使われる空間だとか。暖炉や団らんの場を意味するフランス語のfoyerからの言葉で、通常はロビーと同じ意味で使われることが多いようですね。

 確かに、団らんの場としてご婦人がたが集まる場所でした。ブレンドとチーズケーキのセット楽しんでいたものの、あっという間に城下町から駅に向かう女性客が入店され、おじさん一人の身では居づらくなって早々引き上げましたが、店内に気になるチラシが目に入ります。なになに、『冬の夜のコーヒーの集い』(2017/12/6 19:00~21:00)開催とあり、この店にコーヒー豆を卸している「コクウ珈琲」の篠田さんと、帰山人さんのトークと、二人が淹れたコーヒーの飲み比べのイベント案内でした。そして、対談テーマは「カフェってなんだろう?」です。気になるイベントでしたが、チラシだけもらって帰りました。

 「カフェってなんだろう?」って言われても難しいよな~。自分の店も珈琲屋であっても飲食店として営業しているし、その利用者の多くは地域の方々で複数回利用される方達です。仲間同士でお喋りしながらリフレッシュされる方、一人で本を読みながらコーヒーを飲む方、カウンターで世間話をされる方、様々な利用者がいる訳で、小さなコミニティのようなものかもしれません。当然、その中には、新しい家族が生まれたと言って紹介してくれる人もあれば、いつもカウンターに座っていた人が、この店で最後の一杯を飲まれたこともあります。最近では、老々介護の傍ら一休みにとカウンターに座る人もいました。

 そうした様々な方が満足できるような空間・時間を提供することが自分の役目だと思っていますが、果たして提供できているのか自信がありません。だから、「カフェってなんだろ?」って仮に質問されても答えに困ると思いながら、家でチラシを眺めているのでした。