文庫本を飲む?!

 「NEC」と「やなか珈琲」が、それぞれの得意分野であるAIとカップテスターがコラボレーションをし、名作文学の読後感をコーヒーの味わいで再現した、ブレンドコーヒー「飲める文庫」を新たに発売したそうです。(期間限定)

 これは、NECのデータサイエンティストが、文学作品に関する1万件以上のレビュー文(読後感)を、コーヒーの味覚指標(苦味/甘味/余韻/クリア感/飲みごたえ)に変換した学習データを作成し、その分析モデルを用いて6点の名作文学のレビュー文から、味覚指標のレーダーチャートをそれぞれ作成します。さらに、作成されたレーダーチャートをレシピとして、やなか珈琲店のカップテスターが6種のブレンドコーヒーを考案・開発したんだとか。
 そして、その「飲める文庫」が次の6つ。
■「若菜集」:島崎藤村(タンザニア/コロンビア/ニカラグア:ミディアムロースト)
■「人間失格」:太宰治(コロンビア/ブラジル/ペルー:フルシティロースト)

■「吾輩は猫である」:夏目漱石(コスタリカ/ブラジル/グァテマラ:シティロースト)

■「こころ」:夏目漱石(インドネシア/ブラジル/グァテマラ:イタリアンロースト)
■「三四郎」:夏目漱石(エチオピア/コロンビア:ミディアムロースト)
■「舞姫」:森鴎外(ブラジル/グァテマラ/東ティモール:フレンチロースト)
 AIについては先日のラジオ番組での中で、名古屋大学大学院の佐藤教授が、「コンピューターが何とかするとか、AIが何とかするというのは擬人化表現するSFの世界だけで、プログラムを実行するだけの単なるコンピューターであり、人間しか解けないと考えられていた問題を、どのようなデータと手順を用意すれば、機械的に解けるのかを研究することです。」という発言と、同時に「言葉こそフロンティアである。」明言されたように、機械が言葉を完全に理解できない未開拓の部分であるからこそ、今回の企画が実験的で面白いのかもしれません。
 個人的には「飲める文庫」がどんなコーヒーなのかは興味がなく、もし島崎藤村や太宰治が生きていたら、それぞれにコーヒーをどんな気持ちで飲むのだろうかってことです。いっそ、現在活躍中の作家バージョンも作って、本人から感想を聞いてみたらどうでしょうか?そっちの方がAIの発展に貢献できるんじゃないでかな。でも、絶対しないか!(作家から不満がでそう。)

 AIでやってほしいのは、個人の趣味趣向や気分の変化を読み取って、「今なら、このコーヒーがお勧めですよ。」ってアドバイスしてほしいですね。味覚や好みは千差万別です。絶対数が多いからという理由で、「この本には、このコーヒーよ。」ってのは、秋には「秋香る〇〇ブレンド!」と決めつけられているみたいで、気持ちいいものではありませんから。