ラジコ(radiko.jp)で聴く

 普段、車に乗った時には、必ずラジオのスイッチを入れて聴いていますが、音楽やパーソナリティーの会話を聴くというより、BGMとして聞き流すという程度のものです。ですが、今回は、以前から面白いと思っていた番組、「FMフェスティバル2017未来授業~明日の日本人たち~」が11月8日(金)の16:00~19:00に放送されたことを知り、仕事中で聞くことができなかったことから、一週間前までの放送が聞くことが出来る、インターネットラジオ「ラジコradiko.jp」で、何回かに分けて聴くことにしました。
 今年のテーマは「AIは産業・社会も何を変えるのか?」で、昨年の「WORK SHIFT 2016・第4次産業革命のハピネスとは?」と重なる内容なのですが、最近は「AIが人間の仕事を奪うのではないか?」とか、「今、勉強している方向がいいのか迷っている学生がいる」とか聞くと、AIについて知りたくなるものです。また、ある国では、AIをロボットに組み込んで政治家として育成するプロジェクトなんてものもあるようで、(本当か?)そのスピード感や広がりは気になることばかりです。
 今回の放送内容はこんな内容。
■松尾豊(東京大学大学院工学系研究科特任准教授)
 『今起きて変化は、一言でいうと目の誕生。これと同じことが機械やロボットの世界で起こる』
■伊藤博之(初音ミク 開発者)
 『初音ミクの活動を通して、人というものは創作した人とか物を尊ぶ生き物であると分かった。』
■川村元気(映画プロデューサー / 小説家)
 『人間がコントロール出来ないものが3つだけあると気づいた。仮に人工知能が人間を超えたとしても、きっとこの3つは答えを出せないと思った。』
■佐藤理史(名古屋大学大学院 工学研究科 教授)
 『言語は、おそらくホモサピエンスが発明した最大の発明である。言葉こそフロンティアである。』
■山極壽一(京都大学総長 / 霊長類学者)
『人間の頭というのはヒラメキに満ちている。このインスピレーションがあるからこそ人間は面白い。これが果たしてAIに出来るのだろうか?』
 AIの事を知ることは結局のところ人間を知ることであり、知能とは具体的に何なのかを「未知のものに対する予測能力」としたところや、人間がコントロールできない「死ぬこと、恋愛感情、お金」という、切っても切り離せない課題にスポット当てた内容など、ついつい聞き耳を立てました。

 特に、コンピューターに小説を書かせる日」と題して講演された名古屋大学大学院の佐藤教授からは、「コンピューターが何とかするとか、AIが何とかするというのは擬人化表現するSFの世界だけで、プログラムを実行するだけの単なるコンピューターであり、人間しか解けないと考えられていた問題を、どのようなデータと手順を用意すれば、機械的に解けるのかを研究することです。」と言われてしまうと拍子抜けした感じがしました。人工知能に対する社会の期待や幻想のようなものが、今は異常に膨らみすぎているだけで、こうした意見を聞くとAIの本質が見えてきます。
 聞き逃したり、聞くことのできない時間帯のラジオ番組が、放送終了後に聞くことのできる世の中って凄いです。AIの技術が車や家電に組み込まれている時代が当たり前になり、「ラジコradiko.jp」のようなサービスが普通に存在する世の中ですが、そうした便利なものを必要な時に使いこなせる能力は、結局それぞれ人間個人が持たねばならず、たとえ老いても持ち続けたいものです。