SCAJ2017 (1)

 10月20日、早朝5時に起床し、土岐市駅6時9分発の電車に乗って、一路東京ビックサイトへ向かいます。目指すは日本スペシャリティー協会の最大のプレゼンテーションの場である、SCAJ2017の会場です。

 今回の目的は、今年のテーマである「革新の時」とは何かを探すこと。いったい革新とは何なのか、会場内をくまなく回って歩きますが、過去最高の約250ブースに毎回立ち止まってしまい、中々思うように歩けません。

 地元岐阜県の美濃和紙を使ったペーパーフィルターや、付知の木曽桧のペーパーホルダーなど、親近感の湧くブースが気になりつつ、UCCでは「NEXT COFFEE CULTURE」をコンセプトに、独自開発したレギュラーコーヒー「LARGO」とクリーミーな泡立ちが特徴のアイスコーヒーを提供する「アイスブリュードコーヒー」を飲みながら、フルーツを加えたアレンジメニューを提供するブースが、昨年からかなり増えていることに気づき、「こんなの革新でもないナ。」と他へ足を向けます。

 カリタでは、アームがテーブルから飛び出して、のノ字を描いて抽出する光景が見に入ります。水量・水温・軌跡が調整可能な自動ハンドドリップロボットだそうで、スタッフに質問すると中国人のようで日本語が通じません。こうした機械仕掛けの抽出器具は

oceanrichのブースでも「ROTATE POUR OVER COFFEE MAKER」という、自動で回転しながらお湯を落とす装置があり、中国人にはハンドドリップよりも機械仕掛けがお好きなようで、これがアジアでは革新ってことなのかと思ってみたり。

 キーコーヒーでは、コーヒーの抽出を可視化することで、店舗スタッフの教育やお客様へ提供する、コーヒーのクオリティー・コントロール・システムを目的に、acaiaと共同で開発された、人間が機械に指示されることが革新ってことなの?はたまた、フレーバーホイールの色を使って、味覚のニュアンスを丸や三角で組み合わせた、まるで万華鏡のような味覚の可視化が革新なのか?誰が理解するのか不思議な気分になりました。

 横を覗くと、パナソニックのスマートコーヒー焙煎機「The Roast」のブースが、石光商事の横に仲良く並ぶ様子に微笑みながら、「パクリは革新でもないしな。」とハリオのブースに進みます。そして、ハリオの器具をガチャガチャに仕込んだ玩具を、アンケート用紙に記入しミニチュアを手に入れます。横にあったウォータードリッパーFURIKOの軌道を見ていたら、まるで催眠術にかかったように会場の奥へ。

 正面のパネルを見ると「メイドインジャパン デカフェ」が目に留まり、日本国内で初めてカフェインレスコーヒーを開発したという、Un Cafe Sucre 株式会社の

「二酸化炭素による臨界抽出法」の解説を聞きます。エチオピア・ナチュラルの試飲をしてみるとデカフェと感じないコーヒーです。欧米では10%を超える需要があるにもかかわらず、日本では1%以下という需要が、革新の技術で欧米並みになるのか?ちょっと気になるのでした。

 「革新」とは何だったのか?結局、単に目新しいことなのか?そもそもコーヒーに革新を求めてどうするのか?曖昧なまま帰りの電車に乗り込むのでした。