過去を振り返る時

 23日に行われる、西尾征一郎さんを偲ぶ会の準備のため、当日欠席する私は、西尾さんに関する画像や動画を整理しています。当日の会場内で思い出の映像として流すために、当日までに行える後方作業としては適任の仕事かもしれません。
 西尾さんは聴覚障害者の画家として活躍していたこともあり、NHKの聴覚障害者の時間で紹介されたり、通訳研修用のモデルとして登場したり、京都で個展を開催した際の取材ビデオなどが存在します。それらの動画を西尾さんが登場する部分だけに短く編集し、出席者の方々に過去の映像を通して、もう一度振り返ってもらうのです。

 西尾さんが描いた絵画は自宅や倉庫に保管されており、家族の方が整理するために一枚一枚画像として収められています。それらの画像をスライドショーで流せるように一つずつチェックしているところです。横になった絵を縦に修正したり、背景の家具や人と写っている画像をトリミングして直したり、合計460枚を超える作品の画像確認だけで結構な作業となります。

 そうした過去の映像や作品を見ていると、年齢を重ねていく姿や、独学で始めた絵画が徐々に変化し、画家として確立されていく様子が作品から感じられます。発表された作品に似た絵が複数有り、構図や配色を何通りも描いていることから、苦労して生み出している姿を傍らで見ているような気持ちにもなりました。昔、徹夜で描き続け、一晩で10数枚の作品を描いていたことを思い出しながら、芸術家のエネルギーに驚いたものです。

 今回は、自分以外の人の過去を振り返る経験をしましたが、自分自身の人生を振り返る時は、まだまだ先になりそうです。よく、「昔話に花を咲かせる」なんていいますが、「今やりたい事」、「近いうちにやりたい事」、「将来やりたい事」など、やりたいことだらけなので、昔話で盛り上がるよりも、近い将来の話で盛り上がりたいものです。限られた人生の時間だからこそ、最後まで充実したものにしたいから。