収穫祭?

 来月には地元の神社のお祭りのため、お店を臨時休業にしますが、秋には農産物の収穫を祝って、いわゆる収穫祭としてのお祭りが各地で行われます。「コーヒーの日」も10月1日で収穫祭っぽいですが、これは生産国の都合というより、消費国の販売上の理由が大きいように思います。だって、ブラジルは南半球なので「秋」じゃないですし、その年の収穫への感謝と翌年の豊かな収穫を祈る祭である「フェスタ・ジュニーナ」は、ブラジルの6月の風物詩とも言えるお祭りなのですからね。

 そんな事を考ながら、開店準備を進めてラジオを聞いていると、愛知県小牧市に「豊年祭」という奇祭があると話していました。小牧市?近いじゃないかということで、そのお祭りが行われる田縣神社へ向かいました。田縣神社の御歳神は素戔嗚尊(スサノオノミコオ)の孫で、大歳神(オオトシノカミ)の子です。農業をつかさどる神様で五穀豊穣の守護神であり、古来より五穀豊穣はもとより、家業繁栄、開拓の祖神として崇められています。そして、大同二年(807)に編纂された古典『古語拾遺-御歳神の条-』の故事に基づいて、男茎形を奉納し祈願する「豊年祭」が行われるようになったそうです。「産むは生む」に通じて、恋愛、子宝、安産、縁結び、夫婦円満、商売繁昌、厄除開運、諸病の平癒の守護神として、全国の人々が訪れるだけでなく、世界各国の人々から注目される神社となっているというのです。

 この「豊年祭」は、毎年3月15日に執り行われ、この祭のために直径60cm、長さ2m余りの大男茎形(男性の性器)を毎年新しく檜で作成し、それを厄男達が御輿に担ぎ、御旅所から行列をなして神社へ奉納祈願する祭です。当日は国内外からの参拝者で境内が埋まり、「見くらべて 笑えこの梅 あのさくら」の詩歌の如く、国境を越えて皆が微笑む祭で、まさに「天下の珍祭」なんだとか。

 豊年祭なのに秋ではなく春に行われるかは不明でしたが、とりあえず境内に入って社殿に参拝します。境内には、奉納された男茎形らしい自然石が幾つもあり、首を傾げながら奥の院の方へ向かうと、今年、神輿に担がれた物が「で~ん!」と鎮座しているではないですか。さらに、その横を見ると珍宝窟(ちんぽうくつ)と書いた石版と丸い石が2個置いてありました。石版には次のように刻まれています。
  珍宝窟
双玉ノ右ヲサスリ家内安全
商売繁盛・金運ノ願イ
双玉ノ左ヲサスリ恋愛成就・
子宝・安産・夫婦和合
願イ事叶ウト言イ伝エラレ
遠近ヨリノ参拝者アトヲ
タタズ霊験イヤチコナリ

何だか怪しい雰囲気ですが、一応、商売繁盛を願って摩っておきました。

 コーヒーとは全く関係のない話になりましたが、横道にそれたついでに追加の情報をもう一つ。田縣神社の近くには大縣神社(おおあがたじんじゃ)という名前の由緒正しい歴史ある神社があります。この神社では、毎年03月15日直前の日曜日に、女陰をかたどった山車(だし)や行列が練り歩くことで有名です。けれど、ビジュアル的に田縣神社の豊年祭の方が人気が高いようです。