西尾征一郎 遺作展

 瑞浪市のろうあ者であり、土岐手話サークル竹の子の設立者の一人でもある西尾さんは、私が22,23歳の時にサークルの学習会で出会ってから、多くの刺激を与えていただいた方です。手話やろうあ運動だけにとどまらず、それまで絵画について余り興味のなかった私が、毎年二科展を見に行くようなったうえに、近郊で開催される展覧会にも出かけるようになりました。そんな縁で店内に飾っている中山尚子さんとも出会うことになったのです。そして、自分自身も下手の横好きで絵手紙を始めることになった訳で、出会いと言うのは人を変える大きなキッカケになると実感しています。

 そんな西尾さんが昨年に亡くなり、ちょうど一年が経過しようとする時期に、「西尾征一郎 遺作展」開催の案内状が届きました。会場は毎年瑞浪市の画家グループ「萌穂会」が展覧会を行っている瑞浪市総合文化センターで、9月22日(金)~24日(日)の間に行われます。同時に西尾さんに関係のあった人達が集まって偲ぶ会が開催されますが、度々臨時休業にすることもできないため欠席する予定です。

 西尾さんの個展での手話通訳を担当したりして、30年以上の間に渡って作品を見てきましたが、抽象的な絵画に当初は「何がどうだか分からない」と思っていました。けれど、自宅で若い頃の精細なデッサンを多く見て、技術的なレベルの高さを知ったものです。そして、絵に対する西尾さんの想いを聞き、作品の意図するものを感じるようになりましたし、年齢とともに表現方法や色合いが変わっていく様子を、近くで見ることが出来る貴重な経験をさせてもらいました。

 西尾さんも闘病中に時々来店いただきましたので、偲ぶ会当日にはカウンターの中でコーヒーを淹れながら、案内状にある作品を見て想い出してみようと思います。