セルフ・マネジメント

 先日、妻が新聞の切り抜きを娘に見せながら話をしていました。私もその切り抜きを見ると、妻が以前から切り抜きして集めていた、中日新聞の「くらし欄」に掲載されている、「クラッシャー上司」という上司の在り方をアドバイスする記事でした。

 「昔と違って。」と表現すると誤解を生みますが、確かに上司と部下の関係は以前より難しくなりました。だからこそ新聞に掲載されるのでしょうが、妻から、「あなたは部下がいないから関係なくなったね。」って言われてしまいました。確かに社員育成や指導に悩むことはなくなりましたが、全て一人でやっているからこそ「セルフ・マネジメント」が必要になってくるのです。

 「セルフ・マネジメント」という言葉のイメージは、「自己管理」といった言葉で訳されることが多く、「毎朝何時に起きる」とか、「ジョギング何キロ走る」といったように、「自分自身を厳しく律し管理する」というニュアンスで受け取られがちですが、「セルフ・マネジメント」の本質的な意味は、「自分自身という貴重な資源を最大限活かし、まず自身が成果を上げる」という意味です。
 経営学者であるドラッカーの言葉に、「一流の仕事をするには、まず自己の強みを知ること。そして、仕事の仕方を知り、学び方を知る。価値観を知る。自己を知ることで、得るべきところが分かり、なすべき貢献が明確になる。」というものがあります。自分自身が何者かを理解し、自分を活かすことこそが「セルフ・マネジメント」なのです。
 サラリーマン時代を考えてみると、組織のマネージャーの多くは「疲弊」しているように見えました。あまりにも細分化された業務やルール、煩雑な事務処理、人間関係、人事異動や配置転換により、本来の自分とは違う働き方を余儀なくされている場合も多いのです。とかく、「どの組織に所属している。」「どういう肩書き、役職を背負っている。」という言い方をしていましたが、肩書きや所属先に関心を持つのではなく、自分が何を目指していて、どんな強みを持っていて、どのような人になろうとしているのかが、本来大切だったはずです。

 現在は一人で部下もいませんが、直接お客様と接することや関連業者、同業者との関わりは、全て人間関係で成り立っています。だからこそ、「仕事の仕方を知り、学び方を知る。価値観を知る。自己を知ることで、得るべきところが分かり、なすべき貢献が明確になる」を理解し、自分らしく進まなければなりません。ある方は、「性根」という言葉を使われましたが、ブレることなく「セルフ・マネジメント」を続けることだと考えました。