ちょっと予習

 27日に臨時休業して神戸へ向かうため、神戸での時間を有意義にしたいと思い、早めに出発して以前から訪問したかった「海外移住と文化の交流センター」へ行くことにしました。

 この建物は、19282月に旧国立移民収容所として建てられたもので、南米、とくにブラジル移住者中心の拠点になった場所です。建物は鉄筋コンクリートの5階建てで、建物全体が甲板をもつ船のようで構造で、廊下や階段も船のそれを連想させ、少しでも船内の雰囲気に慣れてもらうために設計されたと言われています。ここでは、当時の神戸の街並みや海外移住の歴史、移住先への道のりや暮らしを当時の映像、写真で紹介したり、当時に使われていた農具なども展示されています。

 そんな訳で、数日前から手隙き時間を使ってブラジル移民について予習をしているのですが、今までは移民船「笹戸丸」のことしか知らなかった自分が、正直恥ずかしくなってしまいます。そもそも、ハワイ移民時代から民間の移民会社が移民から金銭を搾取して、巨利をむさぼっていたこと。そうした中小資本の悪徳な移民取扱業者から移民を保護するため、移民渡航や労働契約の認可制などの移民保護法の制定や、単に賃労働者として移民を送り込むだけでなく、何年か後には土地を分譲して定着させるという殖民事業という形を知ることになります。

 そして、それまでは政府が積極的に殖民的移民を奨励するというものではなく、あくまで移民事業を監督し、移民を保護するという従前の枠組みを出ないものでしたが、時代の移り変わりとともに国が主導するような形で海外興業株式会社が設立され、独占的に植民事業が行われるようになります。何だか政治と金の関係のキナ臭い匂いがしてしまいます。

 そうした移民事業の背景を少しばかり知りながら、資料を見ていると移民船の名前が多数登場します。第8回移民船まででも、笠戸丸、旅順丸、厳島丸、神奈川丸、第二雲海丸、若狭丸、帝国丸、若狭丸と船名も色々あって、「笹戸丸」だけじゃないじないか!それに、幻の1回移民船となるはずだった「土佐丸」が、神戸港を出発することになっていた直前に「コーヒー暴落のため移民引き受け難し」の電報で中止となった「土佐丸事件」など、知らない事柄がいくつも登場したり、学生時代に真面目に勉強しとけば良かったと後悔しきりです。

 でも、若い時には自分に興味のないことに対しては関心がない訳で、今だから「知りたい!」と思えることの方が意味があるんじゃないかと思ったりします。こうして知りたいことに対して直接出かけたりできる今の時間を大切にしたいものです。さて、もう少し調べることにしましょうか。