函館珈琲

 昨日は来店客が少ない割にコーヒー豆が売れるため、朝昼夕と焙煎を何度か繰り返し、ハンドピックをしながら、以前から気になっていた映画「函館珈琲」(2016年上映、監督:西尾孔志)を動画サイトで見ていました。
 ストーリーはこんな感じです。
函館の街の中にひっそりと佇む古い西洋風アパート翡翠館。オーナーの荻原時子は、夢を追う若者たちにアトリエ兼住居として部屋を貸し出しています。装飾ガラス職人の堀池一子、テディベア作家の相澤幸太郎、ピンホールカメラ専門写真家の藤村佐和。それぞれが人生に欠かせないものを探し求め創作活動をしており、そこに新たな住人として、桧山英二が古本屋を開くため現れます。それぞれが心に秘めた思いを語りながら交流を深め、新たなスタートをしていくといった内容です。
 映像がゆっくりと流れ、少々じれったい感じがしますが、そこがちょっとリアルで、ずいぶん昔のことを思い出させてくれました。中学時代にピンホールカメラを自作して、部屋の一部を勝手に暗室として区切って現像したこと、高校時代に自作レンズで天体望遠鏡らしき物を作り、ぼんやりとした月面を見た記憶が蘇ります。

 もっとも、函館珈琲というタイトル通りコーヒーは出てきますが、ネルドリップでの淹れ方が見るに堪えないうえ、生豆を触れるように店内に置かれた怪しげな珈琲屋が登場し、豆を見ながら「新鮮ですね~。」と意味不明は会話。最後に登場する喫茶店では、席数の割に一人で切り盛りするには無理があることや、自家焙煎店なのに、閉店後に執筆活動をしていたら「いつ焙煎するんだ?」と言いたくなる設定など、ツッコミどころは随所にありました。

 とはいうものの、函館に行ったこのとある人には「あっ、そこ、そこ行った!」と共有できる名所が散りばめられており、行ったことのない人には「あそこに行ってみたい!」という観光PR映像としての価値も充分あるのです。まあ、函館による、函館のための、函館好きの人が喜ぶ映画なんでしょうね。