リベリカ

 台風の影響で西日本では大きな災害が発生しています。土岐市でも土岐川が危険水域を超えそうな勢いで、土砂災

害警戒情報によって非難指示が発令されました。雨の中で広報無線が放送されても雨でかき消され、現実に河川が氾濫したり土砂崩れが起きても気づかぬ事態に陥る心配をしてしまいました。翌日聞くところによると、公共施設に集まった人々もあったようで、危機管理について改めて考えさせられます。

 そんな天気の合間を縫って来店される方もあり、カウンターに座ったお客様とコーヒーについておしゃべりしました。産地や精製方法の違いを説明しながら、興味を示したようなのでカネフォラ種(ロブスタ)を試飲をしてもらいます。多くの方がそうであるように、コーヒーの生産量世界第二位がベトナムであることも、アラビカ種でないカネフォラ種(ロブスタ)を知らない間に飲んでいることを知ってもらうため、こうした遊びを時々行っているのです。

 美味しくないカネフォラ種(ロブスタ)に練乳を混ぜると馴染みのある缶コーヒーの味になる事や、インスタントコーヒーの主原料であること、アラビカ種とブレンドして提供されている現状を話しながら、コーヒーに関心を持ってもらうことを目的として楽しんでいます。けれど、コーヒー三原種と言われる「リベリカ種」についてはあまり触れていません。せいぜい独特な臭いを嗅いでもらう程度です。

 リベリカ種は、アフリカのリベリア共和国が原産地です。かつてはアフリカ西部のみで生産されていましたが、現在はベトナム、マーレーシアやフィリピンでも生産されています。カネフォラ種(ロブスタ)同様に、海抜200m以下の主に低地・平地栽培さて、雨の少なさにも強く害虫病にも強い品種で、他の品種王がと比べて10m以上にも育つ特徴があります。しかし、果実が成熟するのに時間がかかることや、大木になるので収穫が大変で収穫量が少ないうえ、アラビカ種やカネフォラ種(ロブスタ)に比べて風味が劣ることから、世界全体のコーヒー流通量の1%未満の生産量しかありません。そのため、多くが自国で消費され一部がヨーロッパへ輸出されているということです。

 コーヒーの事を調べ始めた時、真っ先に取り寄せて飲んでみたのですが、スパイシーで漢方薬のような香りが鼻につき、けっして美味しいコーヒーと思えなかったため、いまだかつてお客様へ試飲として提供したことがありません。カネフォラ種(ロブスタ)と異なり、日常では味わうことのないコーヒーだけに、何だか罰ゲームみたいに気分になったからです。お店で提供してる所があったら覗いてみたいものです。