本気だったんだ!?

 売木村に住んでいる友人が作った楊枝立て、あまりにも可哀そうだったのでバンダナを付けてあげました。実際にお店で働いている私に似ているというか、そのまんまといった感じです。

 そんなことをして遊んでいると、若い男性がカウンターに座って、「覚えてないかもしれませんが、以前、働かせてくださいと言った者です。」と、声をかけてきました。「あ~!そうだった。」確かにその時の若者であることを思い出しました。

 珈琲屋をしていると色々な方が来店されます。同業者の方が「どんなんや?」と様子を見に来たり、新規開業を目指す人が参考にするため覗いたり。彼の場合はいきなり「働きたいんですが。」と、言ってきました。一生懸命さは伝わるのですが、店を選ぶの間違ってないか?というよりも、自分を雇ってもらえるような状態なのか見れば分かりそうなものを、何考えて言ってるんだろうかというのが正直な感想でした。

 しかし、真面目そうで真剣に話す様子を見て、良いアドバイスをしたいと気を取り直し、中央線沿線でコーヒーの勉強をしながら働ける店は見当たらないこと、私の知っている限るでは、各務原市で珈琲店を経営している方が素晴らしい方で、多店舗経営だから採用の可能性があること、コーヒーについて学ぶ機会もあることを話し、その店のホームページも見せました。

 そうは言ったものの彼の住む町から遠いし、多少本気度を疑った部分もあって各務原の店に行くとは想像もしませんでした。その彼が、「今、その店で働いています。」と、報告をしに再び訪ねてきたのです。「本気だったんだ!?」失礼しました。勝手に判断してしまい申し訳ありません。

 そんなやり取りの後に近況を聞きながら、将来の開業を夢見る彼のいきいきした表情を見て、間違いない店を紹介して良かったと思ったのでした。