雪が降ったように

新緑の美しい季節になりました。車の窓を開けて走ると爽やかな風が車内に入り込み、気分爽快!といったところでしょうか。これまでの淡い緑の山々が濃い緑に移り変わっていく様子は、広葉樹が芽吹いていく力強い自然の生命力を感じさせます。 

車で市内を走っていると、そんな緑に染まった街路樹とは異なり、樹木が白く覆われている道が続く場所があります。それは「ニセアカシア」の花が藤の花のように無数に咲く光景と、なんじゃもんじゃと呼ばれる「ヒトツバタゴ」の花です。まるで木々に白い雪がかかったように、全体が白く包まれているようです。 

「ニセアカシア」は子供の頃から自生しており、小学校の下校時には花の蜜を友人と共に舐めていた記憶があります。実際、アカシアのはちみつの多くはこの花からミツバチが採取したもののようです。丸い葉っぱは口に挟んで笛のように鳴らしたものです。「ヒトツバタゴ」は東濃地方で自生する珍しい木でしすが、「なんじゃもんじゃ」と呼ばれる通称名から街路樹に多く利用され始め、今では日常に見かける木となりました。

 

 

こうした白い花が一斉に咲く光景はコーヒーにも見られ、コーヒー産地では開花時期にあたる雨季にまとまった雨が降った翌日に、農園に植えられたコーヒーの木が白い花でいっぱいになります。

コナコーヒーで有名なハワイ島コナ地区では、白いコーヒーの花で一面覆われて、それがまるでコーヒーの枝に積もる雪のように見えることから、地元の人は「コナスノー(コナの雪)」と呼んでいます。

 コーヒーの花には5つの花弁があり、ジャスミンのようなとてもいい香りがします。花が一斉に開花し、その時の農園は雪景色のように真っ白で、雪がふんわりつもったように感じなのですが、そう感じるのは私たち日本人など雪を知っている人たちだけで、コーヒーの生産地の人たちは雪などみたことがないですから、違った見方をしているのかもしれません。美しいと感じることはあっても何か別のたとえ方をしているのでしょうね。