ペーパーフィルターの仕様変更

 店頭でハリオのV60用ペーパーフィルターを販売していますが、知らない間にペーパーフィルターの仕様変更がされていました。そのことを知ったのは教えてもらったからで、実際に取り寄せてみると多くの変更点が見つかります。

 ハリオのホームページを見ても仕様変更の説明は見つけられませんでしたが、見比べると一目瞭然で次のような違いが分かります。

●ペーパーを広げやすくするため、曲面の片側にタブが付いている。

●圧着面の上部に丸味が付いて、折り曲げる際に感触が良い。

●その丸味を付けた分、圧着部分横の余白が広くなった。

●ペーパーの表面がザラザラからツルツルになった。

●ペーパー自体が少し薄くなった。

 お店には在庫があったので気付かなかったのですが、既に2015年11月から順次変更になっているようです。ここで、気になったのが仕様変更による性能の違いが出るかです。見た目にも薄くなったんだから、コーヒーも薄くなるんじゃなかろうか?です。そこで、新旧のペーパーフィルター使用して確かめることに。

 先ずは、単純に水の透過速度を調べてみます。ビーカーに180ccの水を入れてペーパーをセットしたドリッパーに流し込み、サーバーに110cc(単に目印があったから)の水が落ちた時間を計測します。旧のペーパーが18秒に対して、新のペーパーは10秒と半分近く水が速く落ちます。あまりにも違うので何度か繰り返しましたが、やはり同じ結果となりました。確かにペーパーが薄いんだから当然と言えば当然か?

 そこで、実際にコーヒーの粉を使って淹れてみます。12gコーヒー粉を使用して一杯分を抽出する時間を計測しました。あれれ??新旧のペーパーフィルターが同じ時間で淹れられました。え!?と思い、ハンドピックした欠点豆を何度も使用して繰り返しますが、やはり同じ時間で抽出が終了します。注湯温度も同じ条件で、お湯は溢れないように細く淹れているんです。見た目に全く違いが分かりません。

 困惑しながら冷静に考えてみます。ペーパーフィルターでの抽出は透過法です。コーヒーの層にお湯を通過させる段階でコーヒーのエキスを抽出する訳ですから、コーヒー層を壊さないよう、コーヒーの層にお湯が溢れて浸漬状態にならないよう、常にお湯が通過できる量を細く注ぎます。ということは、コーヒーの層を通過する速度がペーパーフィルターを通過する速度よりも遅ければ、抽出時においてはペーパーの透過速度に影響されないことになります。なるほどと妙に納得しながら、メーカーも実験済みだろうと腹に落ちたのでした。

 では、強度は?ということで、手動計測機の我が手を使い引っ張ってみます。ビリビリ!当然のごとく破れますが、通常の仕様には充分耐える強度を確認しました。

 知らない物を確かめる。単純ですが興味が湧くものには多少バカバカしくとも、やってみないと気が済まない私でした。