コーヒー&シガレッツ

 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の防止対策を盛り込んだ健康増進法改正案の原案をめぐり、規制慎重派を中心とした自民党側と厚労省が互いに譲らず、攻防を繰り広げている中、Amazonプライムの映画、

「コーヒー&シガレッツ」(監督:ジム・ジャームッシュ 2003年アメリカ)を見たのでした。

 映画は全11編から構成され、登場人物は1人か23人。主にカフェを舞台に織りなされる10分程度のドラマの中で、会話の機微から浮かび上がる人間関係や感情の交錯が描かれており、自分も同じカフェで傍観しているかのような気分になります。必ず一つのテーブルを中心にコーヒー(紅茶の時もあった)とタバコが小道具となっているのですが、タバコも全員が吸うわけでもなく、登場人物が吸わない者であったり、禁煙中であったりと、それぞれのドラマが繋がりもなく、とりとめもない会話が進んでいきます。昔のアメリカのイメージを勝手に想像しながら、「人生って深かそうで、浅いのかも?そもそも、考えすぎない方がいいんじゃないの?」って思う緩い映画です。

 今じゃ、コーヒー&シガレッツのような光景をカフェで見かけることができないアメリカですが、いずれ日本でもそんな時代がくるのだと容易に想像できる時代になりました。お店では当初から「禁煙の店」として営業しており、喫煙者から煙たがられているのですが、女性中心の集客を考えると当然のことだと考えています。継続して営業できなければ、どんなにコーヒーの事を伝えたくても意味がないのですから。

 それにしても、映画を見ているだけで煙たくなってしまうのは喫煙しない私だからでしょうか?不味そうなコーヒーにたっぷりの砂糖、臭いタバコの香り漂う光景に、子供の頃に大人の世界へ憧れた過去を思い出してみながら、ぼんやりと取り留めのない映画を見終えたのです。