焙煎の煙

 今朝は晴天に恵まれ、朝の焙煎も寒いながらも気分よく行えます。焙煎機からつながる煙突から微かな煙とともに、甘い香りを青い空へ運んでいきます。この甘い香りはコーヒーを淹れた時には感じないもので、コーヒー豆を焙煎した時にだけ放つものです。ご近所さんや焙煎時に来店された方のみが感じる特別なもので、「やってる!」って思ってもらえる珈琲屋のサインかもしれません。

 コーヒー豆の水分量は約10%で、焙煎によって8割程に重量が軽くなることを考えると、水分以外の成分が熱変化によって空気中に放たれることになります。ショ糖や脂質が加熱によって甘く感じたり、燻煙の香りも交じって独特な臭いになるのでしょうね。けれど、この甘い香りや煙が苦情の原因になることもあります。

 お店の焙煎機には1kg用の小型で、サイクロン装置といって、焙煎時に生豆から剥がれたシルバースキン(薄皮)が焦げたチャフと呼ばれるカスや、煙に含まれる繊維質が取り除かれるため、燻煙は思いのほか少なくないのですが、5kg・10kgといった焙煎機を使用した場合には、単純に計算しても一度に大量に煙が発生することになります。都市部で珈琲屋を営むところでは、この煙や臭いが嫌われ者になり、近隣の苦情によって移転してしまうこともあるのです。もちろん、煙や臭いを消す装置も存在しますが、とても高価なものになります。

 街の臭いとして「豆腐屋の香り」や「パン屋の香り」が存在したように、「珈琲屋の香り」として存在できればいいな~って思うのでした。