温暖化でコーヒーの危機!?

 9月上旬頃に、「温暖化でコーヒーの危機!?」といった見出しでネット上にニュースが出ていました。内容は、オーストラリアのNGO団体である「The Climate Institute」が、「地球温暖化が今後も現状のペースで進行した場合、現在、熱帯地方で行われているコーヒー栽培は困難となりコーヒーは事実上の商業絶滅となる可能性が高い。」というものです。よく読むと、熱帯でのコーヒー豆生産に影響が生じてくるのは2050年以降からとみており、コーヒー豆は、2050年頃には生産量が現在の約半分に落ち込み、最終的には2080年頃までに熱帯での野生のコーヒーは完全に絶滅する可能性が強いとしています。また、2080年頃には、熱帯での野生のコーヒーが絶滅するだけでなく、熱帯の自然の多様性も失われることで、CO2排出量は格段に多くなる可能性もあると指摘しています。

 コーヒー危機を煽るような内容だけに、先日のコーヒーサロンの中でも川島さんが取り上げていました。けれど、温暖化の影響については、2012年11月7日付けでPLOS ONEに掲載された、イギリスのキューガーデン(王立植物園)の調査団の報告内容「エチオピア野生種であるアラビカ種コーヒーが気候変動によって、2080年までに絶滅する、というシミュレーションが出た。」というものと同じであるし、再度なぜ?という感じもする。また、今回「The Climate Institute」に調査を依頼したのがフェアトレード団体だと知って、意図的に出された情報のような気もするのです。

 だからといって温暖化の影響は見過ごせませんが、コーヒー生産国の多くは研究のために、農業試験場のような機関が存在し、研究目的でエチオピアに自生していた原種をサンプルとしてとっておいてあるケースがほとんどなので、 野生種が絶滅したからといって、即座にアラビカコーヒーの原種が消える、ということはなさそうです。
 ただ、年間平均気温が上昇すると、以前と同じ気温でコーヒーを栽培したいのなら、標高を上げなければなりません。しかし、山の標高には限界があります。このまま気温が上がっていくとすると、コーヒーの栽培に適した気温の場所は南北に移動していくことになるかもしれません。場合によっては日本でコーヒーが栽培される日も来るのか?(人件費が高いから無理か?)

 または、アラビカ種の栽培が減少し、気温が高くても栽培できるロブスタ種のコーヒーや、アラビカ種にロブスタ種を掛けあわせたハイブリッドの品種が増えてくるのかもしれません。そうなると、今飲んでいるコーヒーと同じ味わいのコーヒーが飲めなくなる日が来るのかも知れませんね。